2013 Fiscal Year Research-status Report
被災地等における街づくりと連動した地域包括ケアの確立方策
Project/Area Number |
24590611
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
浜田 淳 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (70334886)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 信也 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (10335599)
片岡 仁美 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (20420490)
岩瀬 敏秀 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (80614924)
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Keywords | 地域包括ケア / 被災地の医療分野の復興 / 暮らしやすい地域を作る / 地域医療 / 2025年問題 / 自治体との協同 |
Research Abstract |
この研究の目的は、被災地や中山間地域等において、医療、介護等のサービスを適切に提供する「地域包括ケア」の体制を地方自治体と連携しながら構築していくための方策を明らかにすることである。 平成25年度においては、東日本大震災の被災地である岩手県について「県立病院経営委員会」に委員長として参画するとともに行政や学識経験者等からヒアリングを行い、医療・介護の復興状況をフォローし、関係者と意見交換した。同県では、陸前高田市、大槌町、山田町の県立病院が全壊するなど甚大な被害をこうむったが、各病院の移転・建設計画がまとまるなど着実に医療分野の復興が行われている。 第二に、岡山市で、市役所、保健医療科学院の有識者らと介護特区におけるデイサービス事業の調査に関する意見交換を行い、これからの方向づけを行った。高梁市において、超高齢化と人口減の中での地域包括ケアの在り方を議論する委員会の委員長として、報告書を取りまとめた。倉敷市、赤磐市、笠岡市、真庭市の今後の人口動向を踏まえて、地域包括ケアの在り方を考察し、市議会議員、地元のボランティア、一般の市民、行政の担当者と意見交換を行った。 第三に、こうした活動の成果を取りまとめるため、『医療経済学・地域医療学』という書籍を刊行する(2014年5月発刊予定)。同著では、「地域医療の本質とは何か」「地域医療の課題と解決方策」「訪問診療専門クリニックの活動状況」「医療政策における地域医療の位置づけ」「マクロ経済における医療・介護の意義」などについて論じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
この研究の特色は、各地域の自治体や医療・介護の関係者と連携・協同しながら、地域実態に見合った地域包括ケアの体制の構築をめざすものである。これまでのところ、岩手・岡山県庁、岡山、笠岡、赤磐、倉敷、真庭などの各市町村の行政関係者や医療・介護関係者とのネットワーク形成の実績を重ねてきており、研究は順調に推移している。 また、各市町村において、(都市部では)今後の75歳以上高齢者の著増に伴う医療・介護ニーズの増大にどう対処するのか、(中山間地では)人口減の中で医療・介護サービスをどう再編成していくか、といった問題が喫緊の課題となっていることから、われわれのアプローチは必要なものとして迎えられており、研究はおおむね順調に進展してきている。 また、我々の研究成果を著作『医療経済学・地域医療学』(近刊)の形でまとめられたことも研究の進展に寄与している。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、被災地の医療、介護の復興については、引き続き岩手県の県立病院経営委員会等への参加等を通じて状況をフォローし、地方自治体と協働しながら、釜石市、陸前高田市など三陸沿岸地域の地域包括ケアの取り組みの動きを支援し、研究していく。 第二に、昨年夏の社会保障制度改革国民会議の報告以降、国のレベルでも、医療・介護の総合推進法案が提出され審議中であるなど、(市町村レベルでの)地域包括ケアの構築や(都道府県レベルでの)地域医療ビジョンの策定に向けての動きが活発となっている。こうした動きをフォローし、地方自治体の担当者と連携しながら、日常生活圏域ニーズ調査、医療や介護のレセプトデータ、DPCデータなどの定量的な分析を通じて、実効性のある地域包括ケアの方向づけや地域医療ビジョンの策定に関与し、研究成果を取りまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
おおむね予定通りの支出を行ったが、物品費の支出等の関係で端数が生じ、若干の未使用額が生じた。 来年度は、研究計画に基づき、より計画的かつ正確な執行を行っていく所存である。
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Research Products
(4 results)