2014 Fiscal Year Annual Research Report
脳疾患に伴うコミュニケーション障害に対する定量的評価法の開発に関する研究
Project/Area Number |
24590628
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
中村 光 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (80326420)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福永 真哉 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (00296188)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 医療・福祉 / リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
脳血管疾患、脳変性疾患、脳外傷などに起因する認知機能障害者に生じるコミュニケーションの問題は、構音障害や失語症以外にも、まとまりのない脱線した発話、社会的手がかりを読み取ることの困難、暗示的意味の理解困難などの問題として現れることが多い。しかし、このような語用論的なコミュニケーション障害に対する評価の方法は確立していない。 本研究の目的は、語用論的コミュニケーション障害を評価するための方法を、日本で初めて開発することである。臨床現場で容易に施行できるためには、それは比較的簡潔で、結果が量的に表現されるものである必要がある。 まずは、欧米における語用論的コミュニケーション評価尺度を可能な限り収集し、内容を吟味した。そしてMacLennanら(2002)のPragmatic Rating Scale(PRS)を選定し,翻訳と逆翻訳を経て日本語版(試案)を作成した。これは、「プロソディ」「顔の表情」「話題の維持」「結束性」「冗長さ」「話題の管理」など16項目の日常コミュニケーション行動が、それぞれ適度な水準であるかを5件法で評点するものである。評価法の信頼性を検証したところ、原版と同様の方法で算出した評定者間信頼性の値は原版と同等で、weighted κ係数による全項目平均は評定者間0.66、評定者内0.83と十分に高かった。また、妥当性に関しても十分な判別的妥当性と基準関連妥当性を備えていて、検査精度も高かった。本研究において、日本で初めての観察式の語用論的コミュニケーション障害評価尺度を開発した。 また本研究では、語用論的コミュニケーション障害の評価のための言語流暢性課題と新規比喩の理解課題の有用性についても検討した。特に、日本で初めて動詞の言語流暢性課題を実施し、遂行機能の低下(語用論的コミュニケーション障害の背景)を検出するのに有用であることを示した。
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