2013 Fiscal Year Research-status Report
一般用医薬品の多剤併用時における安全性に関する研究
Project/Area Number |
24590634
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
岩瀬 万里子 昭和大学, 医学部, 助教 (70424273)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 有希 昭和大学, 医学部, 講師 (40276572)
倉田 知光 昭和大学, 教養部, 教授 (80231299)
|
Keywords | 一般用医薬品 / チトクロームP450 / セルフメディケーション / 薬物相互作用 |
Research Abstract |
一般用医薬品の多剤併用時に薬物相互作用による予期せぬ有害作用を回避することを目的として、一般用医薬品のチトクロームP450(CYP)に対する阻害効果をヒト肝ミクロソーム画分を用い検討した。本年度は昨年の検討において低いIC50値を得たものに関し、さらにKi値および阻害様式を明らかにした。また、新たな一般用医薬品を加え同様にCYPに対する阻害作用を検討した。その結果、Loperamide hydrochloride, Oxethazaine, Cloperastine hydrochloride, Difenidol hydrochloride, Ketotifen fumarateにおいてはCYP2D6に対し競合阻害を示し、いずれもKi値は10μM以下であった。なかでもCloperastine hydrochlorideおよびDifenidol hydrochlorideはKi値がそれぞれ0.14μM、0.74μMと低く、CYP2D6を強く阻害することが明らかとなった。また、Trimebutine maleate, Papaverine hydrochloride, OxethazaineはCYP3A4に対し競合阻害を示し、Ki値はいずれも10μM以下であった。これら医薬品は一般用のみならず処方薬としても広く使用されているものである。生体内においても同様の現象が起こると併用薬の血中濃度が上昇し有害作用が発現する可能性があり危険である。今後さらに今回の結果を用い文献的に報告されているkinetic parameter と共に生体内で相互作用が起こる可能性を評価する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、平成25年度の実施計画として検討する対象品目を増やし、さらに今回対象とした一般用医薬品が代謝依存的阻害剤になるか否かの検討も行う計画であった。しかしながら平成25年11月に、研究室の合併およびセンター化とそれに伴う研究室の大幅な改装、リフォーム並びに移転、一部解体が急きょ告知され、12月から3月末日に至るまで研究室が一切使用不可となり、当初の予定まで終了することができなくなってしまった。これは学校法人の意向で進められ、申請時には予測不可能であった。しかしながら、現在、一部研究施設の使用が可能となったことから、可能な限り早急にに研究を再開し、これまでの予測不可能であった研究の遅れをとり戻すように全力で努めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は今回対象としている医薬品に対し、それらが代謝依存的阻害を引き起こすか否かの検討を行う。さらに、これまでに得られた結果より文献的に報告されている各種kinetic parameterと共に阻害の程度を予測し、生体内で相互作用が起こる可能性を評価する。なお、今年度は今までの結果をまとめ学会発表を行い、一般用医薬品の適正な使用のためのエビデンスを提供する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前述のとおり研究室の合併およびセンター化に伴う工事のため12月から3月末日に至るまで研究室が一切使用不可となり、当初予定していた研究に伴う物品等の購入が不可能となってしまった。また、今年度発表を予定している学会の参加登録が昨年度中ではなく、今年度になったため当該使用額が発生した。 研究を再開するにあたり、昨年度実施できなかった代謝依存的阻害の評価に必要な各種試薬等を購入する。 また今年度は研究成果を学会にて発表するため、旅費の一部として使用する。
|