2012 Fiscal Year Research-status Report
高齢社会における医療・福祉従事者の国際移動に関する研究
Project/Area Number |
24590638
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
松本 邦愛 東邦大学, 医学部, 講師 (50288023)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 友紀 東邦大学, 医学部, 教授 (10198723)
瀬戸 加奈子 東邦大学, 医学部, 助教 (50537363)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際労働移動 / 外国人労働者 / 医療福祉従事者 / マンパワー |
Research Abstract |
平成24年度は、医療従事者の受給モデルの作成と将来予測を行うために、まず医師の地域偏在に関しての推計を行った。計画では看護師・介護福祉士の受給モデルの作成と将来予測を行う予定であったが、医療サービス供給体制全体を考えると医師をまず扱うべきでありこれまでの研究によって需給の問題は偏在で多くの部分が説明できるためである。また看護師・介護福祉士の人数は医師の数に比べて把握しづらいため、これらの推計は次年度以降に移した。医師の地域偏在の測定は、2010年の市区町村境界を基準として、1996年から時系列で人口を考慮したジニ係数を算出した。合わせて、国立社会保障・人口問題研究所の市区町村別将来推計人口を利用し、医師偏在の将来推計を行った。結果、1996年から2002にかけてジニ係数の低下がみられたが、その後は安定していること、現在の医師の分布を仮定すると、将来人口の分布の変化によってジニ係数は低下が予想されることが明らかとなった。 また看護師、介護従事者の国際移動の推計の一部として、台湾の外国人労働者の受け入れ政策と受け入れ人数の推移に関して調査を行った。台湾では、ホワイトカラー(白領)とブルーカラーでは(藍領)受け入れ政策が完全に異なり、ブルーカラーの受け入れに関しては、国内労働市場に影響を与えないよう徹底的な管理政策を行っていること、受け入れ国は、タイ、マレーシア、フィリピン、インドネシア、ベトナム、モンゴルの6か国に絞っており、従来は製造業への労働者が多かったが、近年は介護士や家事労働者が増えていること、国別ではベトナムからの受け入れが上昇していることなど明らかとなった。 さらに関連研究として、高齢化が進展する中で、医療需要が今後どのように変化していくかに関して、COI法を使ったがんの社会負担の研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では、初年度に、①看護師・介護従事者の需給モデルの作成と将来予測、②東アジア諸国への看護師・介護従事者(caregiver)需給モデルの応用、③看護師、介護従事者の国際移動の推計、④外国人看護師雇用医療施設に対するヒアリング調査の4つを行うこととした。このうち、③介護従事者の国際移動の推計、④外国人看護師雇用医療施設に対するヒアリング調査は予定通り実施できたが、①②に関しては、医療サービス供給体制全体を考えると医師をまず扱うべきであることと看護師・介護福祉士の人数の把握は医師の数に比べて把握しづらいことから、これらの推計は次年度以降に移した。その代わり、計画を補完する目的で、医師の地域偏在に関しての測定と将来推計を行った。 全体として研究はやや遅れている感があるが、次年度以降につながる基本分析は進行しているので次年度以降継続して研究を進める。研究成果の報告に関しては、直接の研究に関しては現在作成中であり、初年度には報告に至らなかったものの、関連研究で医療需要の変化に関する研究を国際学会で報告し、専門家と医療需要の変化に対応した医療従事者の供給に関してディスカッションをした。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、当初計画で立てた①看護師・介護従事者の需給モデルの作成と将来予測、②東アジア諸国への看護師・介護従事者(caregiver)需給モデルの応用、③看護師、介護従事者の国際移動の推計、④外国人看護師雇用医療施設に対するヒアリング調査およびアンケート調査のうち、初年度に十分な進展が得られなかった①、②と初年度の成果を延長した④に関して重点的に研究を行う。 ①、②に関しては、すでに終えた医師の偏在の分析を考慮して、看護師・介護従事者に関しても偏在の問題考える。「衛生行政報告」「医療施設調査・病院報告」等看護師・介護福祉士の実数を把握できる官庁統計に関して、個票データの目的外使用申請制度を利用して複数年のデータを取得し、需給モデルの作成と偏在の分析につなげたい。③に関しては、初年度の受け入れ国の立場からの分析に続いて、送り出し国の立場からの分析を加えたい。また、④に関してはヒアリング調査をもとにアンケート票を開発し、EPAの枠組みで初年度、第2年度に看護師を受け入れた医療施設が、その後制度をどのように評価しているかアンケート調査を行う。 さらに昨年度行った医師の分布に関する分析に関して国際学会で報告をし、専門家との討議を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度はほとんどの研究作業を研究代表者、研究分担者で行うことができたので、当初の計画より人件費を抑えることができ、未使用額が発生した。平成25年度は、この残額とあわせて、国内学会での成果の報告にかかる費用として50,000円、国際学会での成果の報告にかかる費用及び海外調査費用として海外旅費に600,000円、資料整理など人件費・謝金として80,000円、アンケート調査費用として200,000円、残りを会議費用などに充てる予定である。初年度の残額と次年度の請求額合計は1,012,650円である。
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Research Products
(1 results)