2012 Fiscal Year Research-status Report
介護施設内で終末期に臨む高齢者と職員を支援する,医療福祉と葬儀社・宗教家間の連携
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24590645
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
大西 次郎 武庫川女子大学, 文学部, 教授 (20388797)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 医療社会福祉 / 精神保健福祉 / ターミナルケア / グリーフケア / 看取り / 精神科ソーシャルワーク / 医療化 |
Research Abstract |
介護施設,とくに特別養護老人ホームが直面する高齢者の終末期支援に関し,2012年度は医療福祉と葬儀社・宗教家間の連携へ焦点をあてた施設実態調査を行った.その結果,(1)施設外から高齢者・家族に向けた,ターミナル/グリーフケアの提供者として葬儀社・宗教家への期待が少なくない(佛教大学大学院紀要 社会福祉学/社会学研究科篇40:1-17)一方,(2)施設内の援助者として生活相談員の役割が注視され,これは当事者向けにとどまらず,職員をも対象としたグリーフケアの担い手と位置付けられる(佛教大学大学院紀要 社会福祉学研究科篇41:1-13)ことが導かれた.(1)および(2)からなる,特別養護老人ホームでのターミナル/グリーフケア上の課題について日本社会福祉学会・特定課題セッションIコーディネーターへの採用を経て,学会における討議の場を設けた(2012年10月,第60回大会http://www.jssw.jp/whatsnew/pdf/20120206_01.pdf). 発展的な視座として,医療福祉協働を促す専門職である(3)精神科ソーシャルワーカーが,医療ソーシャルワーカーとともに社会福祉学ないしソーシャルワークの発展の中で特異な地位を占め,当事者支援の要になり得る(武庫川女子大学紀要 人文・社会科学編60:81-87,精神保健福祉学1:4-17)と見られる一方,(4)社会科学的な調査が,高齢者福祉の現場からは社会改良や変革を目指す行為とは必ずしも受けとめられず,学術研究と臨床実践の間に溝を生みかねない危惧(保健医療科学61:374-375)もまた認められた. 雑誌論文および学会発表に加え,研究者以外への成果公開の観点から真言宗中山寺派管長の村主康瑞氏(種智院大学学長)をお招きして,終末期医療をテーマとする講演・対談の場を設けた(2013年2月,第2回武庫川女子大学社会福祉研究会).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績で概要を示した (1) から (4) の成果は, 科研費の申請に際し提出した計画におおむね従って, あるいはそこより発展的に獲得され, 計画の初年度として所期の目標をほぼ達成し得たものである. 今後さらに, 継続して高齢者施設における調査や学会発表, 論文作成などを進めていく予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
申請時の計画に沿って研究の拡充を目指すことが原則である. さらに, 発展的な視座としての, 精神科ソーシャルワーク実践がもたらす当事者への支援に関しても論考を深めていく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
謝金の提供を予定していた調査に対し, 無報酬による支援が得られたことから次年度使用額が生じた. 対価に値する協力へは, 精神面にとどまらない相応の謝意を申し出ることがやはり妥当と思われるが, 固辞により果たせなかった際は研究の活動範囲を広げる旅費・交通費に充てることで事業のさらなる推進を図る所存である.
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Research Products
(8 results)