2013 Fiscal Year Research-status Report
介護施設内で終末期に臨む高齢者と職員を支援する,医療福祉と葬儀社・宗教家間の連携
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24590645
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
大西 次郎 武庫川女子大学, 文学部, 教授 (20388797)
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Keywords | エンドオブライフケア / グリーフケア / 看取り / 精神科ソーシャルワーク |
Research Abstract |
介護施設, とくに特別養護老人ホームが対峙する高齢者の終末期支援へ臨み, 2013年度は葬儀社・宗教家に向けた援助実態の聞き取りを行った. その結果, (1) 近年の“終活”概念の普遍化を契機に, 葬儀社・宗教家が高齢者や家族へ人生の終末に関してアプローチする裾野は広がっている一方, (2) 儀礼の個別化・簡素化の流れが進んでおり, 人的・物的規模や宗教的含意の縮小という形で, 都市部を中心に葬儀・埋葬の姿が変貌しつつある現況を認めた. このようななか, (3) 介護施設における葬送は, もとより葬儀社・宗教家側から低単価・無宗教の傾向にあると意識されており, 事業的視座からの相対的な関心の乏しさが, 昨年度検証した介護施設側からの役割期待との乖離をもたらす可能性がある. 以上の諸項目について, 2014年度も面接調査へ基づく分析の継続を企図する. 発展的な観点として, (4) 精神科ソーシャルワーカーが高齢者や職員の支援を担う歴史的な専門職として位置付けられ, その実践行為の体系化が必要であること, (5) かかる援助理論の構築には, 上記の葬儀・埋葬儀礼の移り変わりのように, 社会の側から個人へもたらされる影響を評価する姿勢が欠かせないことを導いた. これらの論考については, 2013年度内に雑誌論文へまとめた (精神保健福祉学 1: 4-17, 精神保健福祉学 3: 18-34).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績で概要を示した (1) から (5) の成果は, 科研費の申請に際し提出した計画におおむね従って, あるいはそこより発展的に獲得され, 計画の2年目として所期の目標をほぼ達成し得たものである. 今後さらに, 継続して面接調査や学会発表, 論文作成などを進めていく所存である.
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Strategy for Future Research Activity |
申請時の計画に沿って研究の拡充を目指すことが原則である. さらに, 発展的な視座としての精神科ソーシャルワーク実践の理論化や, その援助行為へ影響をもたらす社会的観点に対しても論考を深めていく.
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