2014 Fiscal Year Research-status Report
介護施設内で終末期に臨む高齢者と職員を支援する,医療福祉と葬儀社・宗教家間の連携
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24590645
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
大西 次郎 武庫川女子大学, 文学部, 教授 (20388797)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | エンドオブライフケア / グリーフケア / 看取り / 精神科ソーシャルワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
介護施設, とくに特別養護老人ホームに要請されるエンドオブライフケアのさらなる展開へ向けて, 2014年度は葬儀社と宗教家ならびに施設職員に対する援助実態の聞き取りを, 葬儀社にやや重点を置いて行った. その結果, 以下の3点を導いた. (1) エンドオブライフケアへ積極的な施設とそうではない施設の差が広がっている. 後者で施設内死亡を迎えた際の事前事後対応に課題が残る. (2) 介護施設から病院へ搬送された場合, とくに急性期や高度医療を担う機関で, エンドオブライフケアの葬儀社に対する委託がみられる. (3) 宗教家からお迎え体験を積極的に解釈したり, 読経・念仏の意味を説明したりするなど, 高齢者を含めた臨終の作法へと援助の幅を広げる (回復する) 動きがある. 多死社会のなかで医療職から介護職にエンドオブライフケアの主体が移行し, さらに施設死・病院死を問わず協働対象として葬儀社と宗教家が位置付けられていた. 以上の諸項目について, 2015年度も葬儀社と宗教家に対する面接調査を行うとともに, 得られた知見の分析に努める. 発展的な観点として, (4) 精神科ソーシャルワーカーが高齢者や施設職員への支援を担う歴史的な専門職であることから, その実践基盤の体系化を試みた (中央法規出版 1-236). (5) かかる援助行為の完遂には, 上記のエンドオブライフケアにおける主体の移行が示すように, 介護職との協働を図る姿勢が欠かせない. これらの論考については, 2014年度内に雑誌論文へまとめた (武庫川女子大学紀要 62: 19-30, 精神科治療学 30: 1395-1398).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績で概要を示した (1) から (5) の成果は, 科研費の申請に際し提出した計画におおむね従って, あるいはそこより発展的に獲得され, 計画の3年目として所期の目標をほぼ達成し得たものである. 今後さらに, 継続して面接調査や学会発表, 論文作成などを進めていく所存である.
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Strategy for Future Research Activity |
申請時の計画に沿って研究の拡充を目指すことが原則である. さらに, 発展的な視座としての精神科ソーシャルワーク実践の理論化や, ケアワーク支援を組み込んだ協働の形に対しても論考を深めていく.
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