2012 Fiscal Year Research-status Report
院内PACSと携帯インターネット端末を用いた遠隔地域の脳卒中診療支援システム
Project/Area Number |
24590646
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
井上 剛 川崎医科大学, 医学部, 講師 (80388941)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 和美 川崎医科大学, 医学部, 教授 (00388927)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | PACS / 携帯インターネット端末 / 遠隔地医療 / 脳卒中 |
Research Abstract |
本研究は、遠隔地と都心部の脳卒中診療の地域格差を是正するため、遠隔地病院の院内PACSと都心部病院医師の携帯インタ-ネット端末を繋いで、脳卒中の遠隔地診療支援システムを構築し、検証する研究である。遠隔地は岡山県北部の病院、都心部は川崎医科大学附属病院です。初年度は、実際に現場で必要とするシステムを構築するために、遠隔地と都心部の医師それぞれにヒアリングを行い、各病院でのシステムの構築のためのITの準備を行いました。 津山などの県北部の病院に勤務している医師へのヒアリングでは、救急外来を受診もしくは入院している脳疾患と考えられる患者の頭部MRIなどの検査画像を、検査直後から都心部の脳神経専門医に読影してもらい診療のアドバイスをして欲しいと希望されていました。川崎医科大学附属病院などの都心部の病院に勤務している脳卒中専門医師へのヒアリングでは、診療支援のため毎週1回半日は遠隔地病院に勤務しているが、脳卒中外来受診する患者や入院患者の数が多く、十分に診療ができていないとのことでした。脳卒中患者が遠隔地病院に受診する都度、都心部の専門医師へ診療依頼をして、直ちに遠隔地の医師へ診療のアドバイスをしたいと希望していました。遠隔地と都心部の医師は同様のニーズを持っていました。 次に、県北にある津山中央病院、岡山市内の榊原病院と岡山赤十字病院のそれぞれ病院内システム情報の管理者と、各病院の院内PACSの画像データ(MRIやCTなど)を病院外にいる川崎医科大学脳卒中専門医師へ伝達するためのシステムについて具体的に現在協議しています。また、川崎医科大学でも、病院外にいる各科(例えば脳神経外科)医師へ病院内の脳卒中科医師がPACS内の画像データを転送できるシステムを構築しようとしています。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、個人情報保護の観点から、病院外の医師へ院内の情報をインターネットを介して情報を伝達するというシステムを構築している病院は岡山県では少数しかありません。それは、各病院のセキュリティ・ポリシーは画一化されてなく、各病院ごとにそれぞれ決まっています。本研究を遂行するにあたり、各病院と折衝をする段階で、各病院で異なったセキュリティポリシーがあることが障害となっています。院内のPACSデータを院外の医師に伝達する方法も病院ごとで異なり、システムの構築の速度にも病院ごとに差があります。具体的には、ある病院では、院内電子カルテやPACSに接続されていないインターネット回線につながった独立したパソコン(stand-alone)を院内に設置し、院内PACSのデータをCDに転記して、このインターネットパソコンにCDから匿名化された画像を読み込ませて、MRIなどの画像をインターネットを介して、院外にいる川崎脳卒中科医師の携帯型インターネット端末へ転送します。他のある病院は、院外のクラウドに院内PACS画像をアップロードして、川崎医科大学脳卒中科医師が携帯型インターネット端末上でクラウドへアクセスしその画像とコメントを参照して、適切な診療のアドバイスをします。他のある病院では、院内にインターネットに接続された地域連携用サーバーを設置し、院内PACSから匿名化された画像データをサーバーへ転送して、サーバーから院外医師の端末へ送信するというシステムを検討しています。 医療情報を受け取る脳卒中科医師側では、携帯インターネット端末がさらに縮小化して携帯しやすくなった「iPad mini」を購入し、院内のPACSデータを本端末で閲覧可能な解像度か、匿名化の方法、院内のセキュリティポリシーに合致した運用方法を確認し問題点をあぶりだすようにしています。
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Strategy for Future Research Activity |
前記の問題点を解決するために、脳卒中科医師が他の地域病院の非常勤医師となって、各病院内のセキュリティポリシーの範疇内でシステムを構築できるよう折衝しています。次には、複数の病院でシステムの画一化を図りたいです。その上で遠隔地の病院と川崎医科大学脳卒中科と連携ができるようにしたいです。また、昨年より県庁が主導し、地域の基幹病院と診療所をつなぐ医療ネットワーク「晴れやかネット」が始動しています。まだ参加病院は16施設でしかありませんが、病院間をつなぐネットワークに成長すれば、これも利用したいです。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・繰越金が生じた理由は、平成24年度に連携先の地域の各病院内に院外へのインターネットへ接続するためのサーバーを設置する予定でしたが、各病院内でのセキュリティポリシーに合致するような構築が必要で検討中なため、サーバーのための費用が繰越となりました。 ・平成24年度からの繰越額は、平成25年度請求額を合わせて、現在検討中の各病院のインターネットに接続されたサーバーの構築、各病院との折衝のための旅費、県外の病院で行っているシステムの情報収集のための学会参加のために使用する計画です。
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