2012 Fiscal Year Research-status Report
肺高血圧症における血管平滑筋のエンドセリンB型受容体の役割とその遮断の重要性
Project/Area Number |
24590654
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
宮内 卓 筑波大学, 医学医療系, 教授 (60222329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 俊 筑波大学, 医学医療系, 講師 (30282362)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 肺動脈性肺高血圧症 / モノクロタリンピロール / 低酸素 / エンドセリン受容体 |
Research Abstract |
肺動脈性肺高血圧症(PAH)の血管病変形成に関して、肺動脈血管平滑筋細胞(PASMC)におけるエンドセリン(ET)-1-ETB受容体系の活性化はPASMCのアポトーシスを抑制方向に傾け、ETA受容体系を介するPASMC増殖に相乗的に働き、病態を更に悪化させることを最終的に証明することを目的としている。マウスではモノクロタリン投与による肺高血圧モデル作製が困難であるため本年度は、モノクロタリンピロール (MCTP)投与による肺高血圧モデルマウスを作製しようと試みた。10週齢のC57BL6J雄マウスにMCTP 10mg/kgをマウス尾静脈より静注した。溶媒もしくは薬剤の急性毒性のため、マウスは投与翌日に死亡した。1.0, 3.0 mg/kgと用量を減量し3週間後にその評価を行ったが、臓器重量・形態学的評価からは明らかな肺高血圧を示唆する所見は得られなかった。次に、ヒト肺動脈由来血管平滑筋細胞を用いて、ET-1および低酸素を模したCoCl2を投与した際の遺伝子発現パターンを検討した。ET-1刺激・CoCl2処置により、抗細胞増殖に働くBMPR2の発現は低下し、内因性のBMP阻害作用を有するグレムリン-1の発現は有意に増加していた。一方、ヒト肺高血圧患者由来の肺動脈血管平滑筋細胞においては、ET-1刺激・CoCl2処置によるこれらの遺伝子発現変化は認められなかった。これらのことは、ヒト肺高血圧において、ヒト肺動脈血管平滑筋細胞でのBMPの細胞情報伝達系が抑制されていることを示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
モノクロタリンピロール体投与による肺高血圧モデルマウスの確立が未完成のため。 小動物用低酸素チャンバーが用意できず、低酸素によるマウスの肺高血圧モデルを作製できなかったため。 動物の繁殖スペースが足らず、ETB受容体欠損マウスおよび血管平滑筋特異的Creマウスを導入することができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスの肺高血圧モデルの作製を行う。文献的に確立されている方法としては、10%酸素濃度の条件で飼育する方法であり、この方法にて肺高血圧モデルマウスの作製をコンスタントに作製できるようにする。肺高血圧モデルの確立に成功した上で、ETB受容体欠損マウスおよび血管平滑筋特異的Creマウスを導入し、これらを用いて肺動脈血管平滑筋における細胞増殖とアポトーシスとの関連性を明らかにしていく。 培養実験では、ETB受容体欠損マウスの肺動脈由来血管平滑筋細胞を確立する。その上で、培養血管平滑筋でのアポトーシスに対する感受性および低酸素刺激におけるETB受容体の機能を推察していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
動物用低酸素チャンバーおよびそれを動かすための付属装置の一部に購入費用として使用する。 本実験は動物の購入・飼育費に主として使用すると共に、一般的な分子生物学的実験の試薬に使用する。試薬の内容としては、ウェスタンブロット・免疫染色・FACSのための抗体や発色試薬、遺伝子発現の測定、培養器具の購入等にあてる。
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Research Products
(3 results)