2013 Fiscal Year Research-status Report
医薬品に対する応答性の民族差を生じさせる要因は何か?:東アジア国際共同研究
Project/Area Number |
24590661
|
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
小手川 勤 大分大学, 医学部, 准教授 (20264343)
|
Keywords | 医薬品応答性 / 内的要因と外的要因 / 遺伝子多型 / 薬物トランスポーター / OATP / MRP4 |
Research Abstract |
1. フェキソフェナジンの体内動態に及ぼすアップルジュースの投与タイミングの影響 目的:医薬品の応答性に及ぼす外的要因として、果汁が薬物トランスポーターを介して薬物動態を変動させることは我々の研究などによって明らかにされてきた。本研究では、フェキソフェナジンとの相互作用について、アップルジュース飲用後に時間をあけて同薬物を投与することによって、相互作用の程度が異なるのか否か検討した。方法:健常成人を対象としてフェキソフェナジンを単回経口投与した。アップルジュースはフェキソフェナジン投与0, 1, 3時間前に投与した。経時的に血中フェキソフェナジン濃度測定用の採血を行った。結果:現在、血中フェキソフェナジン濃度の測定が終了したところである。今後、薬物動態パラメータ解析を行い、アップルジュースの投与条件によって薬物動態が異なるかどうかを検討する予定である。 2. セフチゾキシムの薬物動態に及ぼすMRP4の遺伝子多型 rs3765534 G>Aの影響:他施設共同国際臨床試験 目的:本研究は、医薬品応答性に影響する内的要因としての遺伝的背景が、民族差にどの程度関わるのかの検討するため、1)薬物トランスポーターであるMRP4の遺伝子多型MRP4 rs3765534 G>Aがセフチゾキシムの薬物動態に影響するか否か、2)セフチゾキシムの薬物動態に民族差(中国人、韓国人、日本人の間の差)があるかどうかを明らかにすること、を目的とした。方法:北京協和病院、ソウル国立大学、九州大学、大分大学の共同臨床試験として実施した。遺伝子スクリーニングを行った被験者を対象として、セフチゾキシムを単回静脈内投与した。投与前後で採血、採尿を行い、セフチゾキシム濃度を測定した。結果:既に血中、尿中薬物濃度の測定は終了した。現在、各施設の被験者データを再確認中である。今後、薬物動態パラメータの算出、統計解析を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調に2つの臨床試験を、大きな問題なく実施できた。中国、韓国との共同研究については、薬物の研究目的での海外からの受け入れや生体試料(血液、尿)の海外への送付に各国で異なる規制があり、規制当局への許可申請などに予想以上の時間と費用を要した。このため、データ解析が当初の予定よりもやや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
終了した臨床試験の解析を早めに行い、結果を論文として公表する。また、得られた結果から、課題を抽出、明確にして、さらなる医薬品応答性の民族差解明につながる臨床研究を計画、実施する。
|