2012 Fiscal Year Research-status Report
P450のMBIを介した薬物相互作用に個人差をもたらす遺伝的要因の定量的解明
Project/Area Number |
24590668
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大谷 壽一 慶應義塾大学, 薬学部, 教授 (70262029)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 康次郎 群馬大学, 医学部, 教授 (70174787)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 薬物相互作用 / 遺伝子多型 / 不可逆的阻害 / 個人差 / テーラーメード薬物治療 |
Research Abstract |
薬物相互作用の重要な一因に、チトクロム P450 (CYP) の阻害があるが、薬物相互作用の程度に個人差をもたらす要因として、酵素の遺伝的多型が注目されている。しかし、酵素活性を不可逆的に失活する「mechanism-based inhibition (MBI)」に関しては、変異に伴う阻害特性の差違についての検討は行われていない。本研究では、CYP3A4 および CYP2D6 の野生型及び変異型分子種に対する MBI 阻害剤の阻害特性の差を評価することを目的とした。 具体的には、ヒト CYP3A4.1, .2, .7, .16, .18 及び CYP2D6.1, .2, .10 発現系ミクロソームを用いて、典型的基質の代謝活性に対するMBI阻害剤の阻害特性 (最大不活性化速度 kinact,max および最大不活性化速度の 1/2 を与える阻害剤濃度 KI) の差異を定量的に評価した。CYP3A4 の阻害剤としては、エリスロマイシン(EM)、クラリスロマイシン(CAM)、レスベラトロール(RSV)、リモニン (LIM) を、CYP2D6の阻害剤としてはパロキセチン(PRX)を検討対象とした。 その結果、EMやCAMにおいては、CYP3A4のvariants間でKI値に最大5倍以上の差異が認められ、RSV、LIMでもそれぞれ最大 3 倍、4.9 倍異なっていた。また、PRXにおいても、CYP2D6の3種のvariantsでKI値に最大6倍以上の差異が認められた。 以上のことから、MBIによる薬物相互作用の程度に個人差をもたらす重要な因子の一つに、阻害を受ける酵素の遺伝的多型があることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定であった CYP3A4 および CYP2D6 の各種 variants における MBI 阻害特性の定量的違いを概ね明確にできたこと、およびその成果を学会及び学術論文に発表できたことから、研究はおおむね順調に進展していると判断した。 また、当初予定にあったドッキングシミュレーションについては未着手であるものの、その分、近年話題となっている阻害剤として、天然果実成分であるレスベラトロールおよびリモニンについての検討を行ったことから、全体としての達成度は概ね当初の予定と等しいと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、用いる基質を変更した場合の解析を進める。 また、当初の予定通りドッキングシミュレーションを行い、これまでの実験結果との対応を見る。 なお、生理学的母集団薬物動態シミュレーションによるIVIVE(in vitro to in vivo extrapolation)についても、現在検討が進行中であり、平成25年度中に一定の成果を発表する見通しである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(2 results)