2013 Fiscal Year Research-status Report
新しい持続型心房細動モデル動物における心房細動治療標的分子の分析
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24590669
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
高原 章 東邦大学, 薬学部, 教授 (80377481)
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Keywords | 心房細動 / 心房拡大 / 慢性容量負荷 |
Research Abstract |
心房に対する慢性的な容量負荷が心房拡大と心房内伝導遅延等を伴う電気生理学的特性の変化を誘発し、それが心房細動の持続時間延長に寄与することを昨年度までの研究で明らかにした。本年度はこのモデル動物に発生する心房細動に対し、I群抗不整脈薬ジソピラミドとピルジカイニドの効果を調べた。加えて、心房選択的な電気生理学的作用を示し、新規心房細動治療薬として期待されているノイラミニダーゼ阻害剤オセルタミビルの有効性を検討した。腹部大動静脈瘻の手術から3ヶ月後において心房拡大と心房組織の線維化が観察され、バースト刺激により心房細動が誘発された。抗不整脈薬ジソピラミドまたはピルジカイニドはバースト刺激により誘発した心房細動の持続時間を用量依存的に短縮させた。また、オセルタミビル(10-50 mg/kg, i.v.)も同様に心房細動の持続時間を用量依存的に短縮させた。オセルタミビルは心房細動持続時間を約50%短縮させる用量(10mg/kg)において心房有効不応期を延長させ、心電図指標の中でP波持続時間のみを延長させた。一方で同様の抗心房細動作用を示す1mg/kgのジソピラミドとピルジカイニドは心房有効不応期とP波持続時間の延長に加え、QRS幅を延長させた。これらの結果は、オセルタミビルの抗心房細動作用は心房における特徴的な電気薬理学的メカニズムによって生じている可能性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
既存抗不整脈薬の作用検討は当初の計画通りである。オセルタミビルに抗心房細動作用を見出したことは新規知見であり、新しい抗不整脈薬として臨床応用の可能性を期待させる結果が得られた。この点は本プロジェクトの活性化に寄与するものと期待している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、心房筋と心室筋より単相性活動電位(MAP)を同時記録し、薬物の心房および心室に対する作用選択性を同時評価可能なin vivoモデルの構築を進める。麻酔したウサギの静脈より心臓内にカテーテル電極を留置することで、非開胸下で心臓の電気現象を記録することが可能であり、薬物の心房および心室に対する作用選択性を実験的に示すことで、抗心房細動薬の心臓に対する安全性評価手法の確立につながる。申請者は心室筋のMAPを記録することで薬物による催不整脈作用をこれまでに検討してきたので、その技術を応用することでモデルの確立が可能と考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
残額は2万円弱であり、ほぼ予定通りの進捗であった。 本研究課題の遂行に必要な実験動物や試薬など消耗品の購入に研究費を使用する計画である。
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Research Products
(10 results)