2012 Fiscal Year Research-status Report
アシネトバクター属の菌種レベルにおける耐性機序解析および病原性解析
Project/Area Number |
24590675
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
遠藤 史郎 東北大学, 大学病院, 助教 (40614491)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 寿一 東北大学, 大学病院, 講師 (20374944)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | Acinetobacter |
Research Abstract |
Acinetobacter属に関する詳細は不明な点が多く、特に正確な菌種レベルでのAcinetobacter属の同定は、その菌種間での生化学的性状が非常に類似していることから困難であり一般的には行なわれていなかった。 H24年度は遺伝子解析技術を用いて、Acinetobacter属の菌種レベルにおける同定を行なった。対象とした菌株は東北大学病院で血液培養から分離されたAcinetobacter属50株とした。正確な菌種レベルでの同定にはrpo B遺伝子の特定領域(zone1, zone2, rplL-rpoB, rpoB-rpoC)をシークエンス解析することにより行なった。 結果としてはAcinetobacter soli(28%)の分離頻度が最も多く、次いでAcinetobacter nosocomialis(24%), Acinetobacter baumannii(20%), Acinetobacter ursingii(16%), Acinetobacter pittii(6%), Acinetobacter close to 13TU(2%), Acinetobacter gromontii(2%), Acinetobacter guillouniae(2%)という結果であった。 一般的にはA. baumanniiの分離頻度が多いと報告されているが、本研究結果ではA. baumannii以外のAcinetobacter属が最も多く分離された。Acinetobacter属は菌種によってその生命予後が異なる可能性が指摘されている。本研究結果により、菌種レベルでの正確な同定は疫学上も重要であることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Acinetobacter属は日和見感染症の原因菌となるが、一般市中病院における血液培養からの分離頻度が本年度は予想より少なく、菌株の収集状況が当初の予測より遅れているため当実験全体の予定としてはやや遅れている状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
菌株収集は継続して行なう。また、収集した菌株に関して、薬剤感受性試験を中心に耐性遺伝子の解析を行なう予定である。Clinical Laboratory Standards Institute(CLSI)に準拠した寒天平板希釈法により、minimum inhibitory concentration (MIC: 最小発育阻止濃度)を測定する。さらに寒天平板希釈法ににより得られたイミペネムのMICが4μg/ml以上の株に対してSMAディスクを用いたメタロ-β-ラクタマーゼの確認試験を行なう 。さらにはmodified Hodge testによるカルバペネマーゼ確認試験も併せて行なう予定である。カルバペネムのMICが4μg/ml以上の株に対してはPCR法を用いたカルバペネム耐性遺伝子の解析を行なう。カルバペネム耐性株について、OXA型カルバペネマーゼおよびメタロ-β-ラクタマーゼ産生遺伝子を検索する。OXA型カルバペネマーゼに関してはInsertion Sequenceの有無の検討も行う。OXAタイプ-β-ラクタマーゼ遺伝子を保有していた株に対しては、シークエンス用プライマーを用いて、PCRを行い、得られたPCR産物をABI3730xl Analyzer(アプライドバイオシステム)にてDNAシークエンス解析を行う。DNAシークエンス解析結果に対し、BLAST:version2.2.24(http://blast.ddbj.nig.ac.jp/top-j.html)を用いてOXAタイプ-β-ラクタマーゼ遺伝子の型を判定する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、当初計画していた菌株が収集を次年度に継続延期することによって生じたものであり、継続延期した菌株収集に伴い、菌種レベルでのシークエンス解析、薬剤感受性試験、メタロ-β-ラクタマーゼの確認試験、カルバペネマーゼ確認試験、薬剤耐性遺伝子の解析、Insertion Sequenceの有無の検討、OXAタイプ-β-ラクタマーゼ遺伝子の型の解析に必要な経費として平成25年度請求額と合わせて使用する予定である。
|
Research Products
(1 results)