2013 Fiscal Year Research-status Report
SLEおよび抗リン脂質抗体症候群における自己抗体の病態形成活性検出法の検討
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24590681
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
窪田 哲朗 東京医科歯科大学, 保健衛生学研究科, 教授 (90205138)
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Keywords | 全身性エリテマトーデス / 抗DNA抗体 |
Research Abstract |
今年度は,1.全身性エリテマトーデス(SLE)の疾患活動性と相関する抗dsDNA抗体の生物活性に関する検討,および 2.炎症性サイトカインIL-1βの産生に関わるNLRP3インフラマソームの機能に関する検討を行った。 まず 1.に関しては,抗dsDNA抗体が単球に作用して組織因子の発現を誘導すること,マクロファージに作用してBAFF,IL-1βなどのサイトカインの産生を誘導することなどを示唆する結果が得られた。組織因子の発現は血栓形成傾向をもたらし,従来はβ2-glycoprotein I依存性抗リン脂質抗体の関与が指摘されていたが,今回の検討で,抗dsDNA抗体にも同様の活性があることが明らかとなり,興味が持たれる。また,BAFFの産生は自己抗体産生細胞の不死化につながるため,抗dsDNA抗体がSLEの病態の悪循環をもたらしている可能性が示唆される。さらに,IL-1βは組織において腎炎,血管炎,皮膚病変などを惹起している可能性が示唆された。 2.はそのIL-1βの産生機構に関する基礎的検討で,CARD8という蛋白質がNLRP3インフラマソームを抑制的に制御していることを証明することができた。自己炎症症候群のクリオピリン関連周期熱症候群にみられる変異NLRP3は,CARD8による抑制を受けないことが見出され,それが発症機構と関連していることが示唆された。一方,NLRP3インフラマソームはSLEなどの膠原病における炎症性病態にも関わっていることが予想されるが,抗dsDNA抗体などによってNLRP3の活性化が生じることは未だ確認できていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
抗dsDNA抗体の中には,単球に作用して組織因子の発現を誘導したり,マクロファージに作用してBAFF,IL-1βなどのサイトカインの産生を誘導する抗体があることを示唆する結果が得られた。このような病態形成に関わる生物活性をもっている自己抗体を特定すれば,すぐれた臨床検査法の開発にもつなげることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
抗dsDNA抗体の中には,単球に作用して組織因子の発現を誘導したり,マクロファージに作用してBAFF,IL-1βなどのサイトカインの産生を誘導する抗体があることを示唆する結果が得られた。これらの抗体がどのようにして細胞に結合して細胞の活性化を引き起こすのか,抗体の精製法の工夫や,電子顕微鏡などを用いた検討によって詳細を検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ほぼ申請した計画どおりに使用しており,若干の端数が残ったに過ぎない。 次年度の消耗品購入に充当する。
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Research Products
(4 results)