2014 Fiscal Year Annual Research Report
SLEおよび抗リン脂質抗体症候群における自己抗体の病態形成活性検出法の検討
Project/Area Number |
24590681
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
窪田 哲朗 東京医科歯科大学, 保健衛生学研究科, 教授 (90205138)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 全身性エリテマトーデス / 抗リン脂質抗体症候群 / 抗DNA抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
全身性エリテマトーデス(SLE)および抗リン脂質抗体症候群(APS)では,抗DNA抗体や抗リン脂質抗体をはじめとして様々な自己抗体が産生されるが,それらの抗体が病態形成にどのように関わっているのかについては未だ不明の点が多い。本研究では,それらの自己抗体が種々の細胞に与える影響を解析し,病体形成に関わる抗体と,あまり関係なさそうな抗体とを区別して検出する臨床検査法を開発することを目指している。2012年度からの3年間で進展したことは大きく分けて以下の2点である。 1. DNAとカルジオリピン-β2グリコプロテイン-I に交差反応性を示すモノクローナル抗体WB-6の性質に関する検討。私たちは先行研究でAPSのin vivoモデルマウスを作出したが,今回の研究期間中にそのマウスを使って,WB-6が血栓形成傾向をもたらすことを確認した。これはWB-6という抗体が細胞に何らかの作用を及ぼして,APS様の病態を引き起こすことを裏付けている。そこでさらに抗体と細胞との作用様式を明らかにするために,2014年度には培養細胞にWB-6を添加した後,電子顕微鏡で観察することを試み,本抗体が生細胞の細胞質と核に侵入できることを見出した。自己抗体のこのような作用のために,細胞がどのような影響を受けるのか,今後分子レベルで解析してゆく予定である。 2. 炎症の分子メカニズムに関する検討。上記のように詳細はまだ不明であるものの,自己抗体の作用を受けた細胞には炎症に関連した活性化が生じるはずであり,2014年度は特にIL-1βなどの炎症性サイトカインの産生に関わるNLRP3インフラマソームの機能に関して検討した。その結果,CARD8という蛋白質がNLRP3インフラマソームの活性化を抑制していることが示唆された。今後はSLEやAPSの病態におけるインフラマソームの機能を明らかにしてゆきたい。
|