2013 Fiscal Year Research-status Report
新たなTaq酵素を用いた迅速な感染症起因菌同定ITシステムの臨床応用
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24590682
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
仁井見 英樹 富山大学, 大学病院, 助教 (50401865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北島 勲 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (50214797)
野手 良剛 富山大学, 大学病院, 臨床検査技師長 (60377364)
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Keywords | 遺伝子検査 / 敗血症 / 微生物 / 感染症 / 遺伝子 |
Research Abstract |
平成25年度は、全プロトコールの再評価と固定、データベース中の登録菌種を増やすこと、そして同定の正確性の評価および従来法との比較を行った。 1.全プロトコールの再評価と固定:検体到着から結果報告までの全プロトコールにおいて、特にバクテリアDNAのコンタミネーションを防止する観点からプロトコールを見直した。そのため、真空採血管やDNA抽出キットについて各社製品を比較検討し、もっともコンタミネーションの少ない製品を厳選した。その結果、DNA抽出過程からdistilled waterを用いたnegative controlにて、殆ど全てのサンプルでcontamination freeを実現した。 2.データベース中の登録菌種を増やす:ATCC標準菌株を約200菌種購入してそれぞれDNAを抽出し、データベースに登録した。更に臨床分離株で見出したmutant strainもデータベースに逐次登録した。その結果、mutant strainを含む約200菌種のバクテリアのデータベースが完成した。 3.同定の正確性の評価および従来法との比較:本研究の感染症起炎菌迅速同定システム(Tm mapping法)について、富山大学附属病院で3か月、共同研究を行っている外病院で6か月の試験運用を行い、計200検体以上の臨床検体を検査した。その結果、Tm mapping法で陰性と判定した場合、培養法が陰性である一致率は98%、Tm mapping法で陽性と判定した場合、培養法が陽性である一致率は60%であった。また、Tm mapping法&培養法ともに陽性の場合、菌種同定の一致率は85%であった(不一致検体は、複数菌のため同定出来なかったもの)。特にTm mapping法陽性&培養法陰性の場合が多かった理由は、遺伝子検査では死菌をも検出するためと考えられる。これは遺伝子検査全体で認められる傾向であるが、今後は死菌の判定方法をより明確となるように改善する計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回、先ずは目標であったデータベース登録菌種数を、ATCC標準菌株を用いて200菌種まで増やすことが出来た。 次に本研究システムの評価をより詳細に行うため、大学病院および共同研究先の外病院を含め、大規模な試験運用を実施した。そして従来法である培養法との結果を比較検討した。その結果、200検体以上の臨床検体で検討を行うことが出来、本システムの有効性、およびシステムの問題点(DNA抽出工程以前のbacterial DNA contaminationなど)を浮き彫りにすることが出来た。その後、その問題点の修正を行った。それらをふまえて26年度は再度、試験運用を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
1.ソフトウェアのインターフェイスを改善する。2.生菌・死菌を判定できるようにする。3.システム全体を再評価する。4.先進医療へ申請する。
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