2013 Fiscal Year Research-status Report
レドックス生体応答反応を利用した新規のベッドサイド迅速酸化ストレス診断法の開発
Project/Area Number |
24590686
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
糟野 健司 福井大学, 医学部, 准教授 (60455243)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩野 正之 福井大学, 医学部, 教授 (20275324)
木村 秀樹 福井大学, 医学部附属病院, 准教授 (20283187)
高橋 直生 福井大学, 医学部附属病院, 助教 (30377460)
中村 肇 公益財団法人田附興風会, 医学研究所第8研究部, 研究員 (70303914)
|
Keywords | 酸化ストレス |
Research Abstract |
急性心筋梗塞、脳梗塞、急性腎障害(AKI)などの虚血性疾患は酸化ストレスが重要な基盤病態と考えられているが、現在の臨床現場で、酸化ストレスを定量的に測定するツールが存在しない。そこで本研究では酸化ストレスに特異的な新規の迅速レドックス診断法の開発を目的に研究を行っている。 平成24年度は培養細胞を用いてTRXの酸化ストレス特異性・用量依存性を検証した。 平成25年度は主にヒトとマウスで、酸化ストレスを受けてから何時間で尿中TRXが上昇してくるのかを検証した。ストレスを受け始めた時間が明確な人工心肺下手術(術後AKI症例8例、術後非AKI症例10例)で人工心肺の潅流開始後1時間ごとに尿を採取し、従来の腎機能マーカー血清クレアチニンや早期急性腎障害マーカーNGALと比較した。その結果、尿中TRXは、尿中NGALとほぼ同時に6時間で上昇することが分かった。一方、血清クレアチニンは21時間と遅れて上昇するとことが分かった。また尿中NGALのピーク値が前値の436倍であったのに対し、TRXは1004倍の上昇を認めNGALよりも2.3倍大きく変動する事が分かった。さらに尿中TRXと尿中NGALは正の相関を認めた(r=0.531, p<0.001)。これらの結果を昨年度の実験結果と合わせて論文投稿を行ったが、査読者から血中・尿中TRXの上昇時期と由来について正確なデーターに基づいていないとのコメントがあった。臨床サンプルでは頻回の血液サンプル採取が困難であることと、酸化ストレス以外の様々な要因が混在していることから、マウスを用いて、現在検証している。マウスの腎虚血再潅流後1時間(N=3)、3時間(N=3)、6時間(N=3)、12時間(N=3)、24時間(N=3)、48時間(N=3)72時間(N=3)で尿、腎、血液を採取した。これらをそれぞれのshamマウスのサンプルと比較中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
現在論文投稿を行っているが、査読者から追加実験が必要な意見が寄せられている。これに対し追加実験をいくつか行っていることがやや遅れている原因である。また計画では慢性疾患の①糖尿病②慢性腎臓病③メタボシンドローム④感染症⑤免疫疾患で検討する計画をしていたが、①②のみ実行できて③④⑤については症例が集められていない。急性疾患についても①心筋梗塞②脳梗塞③抗がん剤を用いた患者④造影剤を用いた患者⑤人工心肺下手術の患者で計画していたが⑤のみ実行できており残り①②③④は症例が集められていない。現在福井大学腎臓内科受診者より静脈血採血と尿採取、凍結保存を行い、サンプル採集を進めているが、今後は他科と協力して現在集められていない症例も増やせるように検討していく。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在投稿作業中の「急性腎障害での超早期の尿中TRXの特異的上昇」についての論文が受理されれば本研究に労力を集中することが出来るようになり、今後の研究を推進することが出来る。査読者から意見のあったマウスにおける追加実験は現在進行中で、既にマウスの虚血再潅流手術と尿、腎、血清の採取はほぼ完了しており、後はELISAにて測定し解析することと、論文の本文とFigureを手直しするのみとなっている。 今後、化学発光酵素免疫測定法(CLEIA)を用いたTRX迅速測定法の開発において、アルカリフォスファターゼ(ALP)標識抗TRX抗体とビオチン標識抗TRX抗体を用いたサンドイッチアッセイによって固相フィルター上にTRX抗原をトラップし、その後ALPの基質である 発光基質を固相フィルターに添加することによって、発光シグナルが得られることを確認する。発光量は光電子倍増管(PMT)を用いて検出し、まずは検量線を得ることを目標に研究を進める。 今後の研究の推進策として、サンプル採集を福井大学腎臓内科受診者より静脈血採血と尿採取、凍結保存を行い、上記のTRX迅速測定法の開発と同時並行的に進めている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計画で予定していた疾患の内、メタボシンドローム、感染症、免疫疾患、心筋梗塞、脳梗塞、抗がん剤、造影剤を用いた患者の症例が集められていないためその後のアッセイが出来ていない。アッセイに必要な試薬には有効期限があるため購入をせずにいる状態である。今後は他科と協力して現在集められていない症例も増やせるように検討し、症例が集まった時点で試薬等を購入しアッセイする予定である。 各症例のサンプルを集めることと、迅速測定法の開発を同時並行的に進める。化学発光酵素免疫測定法(CLEIA)を用いたTRX迅速測定法の開発には、アルカリフォスファターゼ(ALP)標識抗TRX抗体とビオチン標識抗TRX抗体を用いたサンドイッチアッセイによって固相フィルター上にTRX抗原をトラップし、その後ALPの基質である発光基質を固相フィルターに添加することによって、発光シグナルが得られることを確認する。発光量は光電子倍増管(PMT)を用いて検出し、まずは検量線を得ることを目標に研究を進め、次に得られたサンプルを従来のELISAと今回開発する迅速測定法の両方で測定し、信頼性を確認する。
|
Research Products
(10 results)
-
-
-
-
-
-
[Presentation] 低酸素ストレス性腎障害マーカーとしての尿中ポドカリキシン濃度ーdb/dbマウスを用いてー2013
Author(s)
高橋 直生, 糟野 健司, 上山 和子, 黒澤 寛之, 平山 吉朗, 黒瀬 知美, 横井 靖二, 横山 由就, 三上 大輔, 木村 秀樹, 吉田 治義, 原 正則, 岩野 正之
Organizer
日本腎臓学会学術総会
Place of Presentation
東京国際フォーラム
Year and Date
20130510-20130523
-
-
-
-