2012 Fiscal Year Research-status Report
抗血小板薬シロスタゾールの薬効モニタリング法の開発ならびに有用性の検討
Project/Area Number |
24590687
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
佐藤 金夫 山梨大学, 医学部, 助手 (20242662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 勝弘 山梨大学, 医学部附属病院, 助教 (60382925)
尾崎 由基男 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (30134539)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 薬効モニタリング / シロスタゾール / 血小板凝集能検査 / 抗血小板療法 / 検査血液学 |
Research Abstract |
生体内では血管内皮細胞の産生するPGI2によりアデニレートシクラーゼが活性化されて血小板内cyclic AMP(cAMP)の濃度が増加する.一方でcAMPはホスホジエステラーゼにより分解されてその濃度は減少する.cAMPの増加は血小板の活性化を防いで血栓の形成を抑制するが、ホスホジエステラーゼ阻害作用をもつシロスタゾールはcAMPの増加を通じて抗血小板作用を発揮し、血栓症の予防に寄与している. 血小板凝集能検査は測定試料の作製に時間が掛かるため、半減期の短いcAMPは試料作製中に消失してしまい、凝集能検査によるシロスタゾールの薬効モニタリングはできなかった.そこで本研究では、PGI2の安定アナログであるPGE1でPRPを前処理して血小板内cAMPを生体内に近い状態にすることで薬効モニタリングの測定系の構築を目指した. 同意の得られた健常成人を対象にシロスタゾール服薬前後に採血して、0~30nMのPGE1存在下にアラキドン酸(AA)を活性化物質として血小板凝集能を測定した(AA凝集能).シロスタゾール服用前のAA凝集能は30nM PGE1存在下でも抑制されなかったが、服用後では10および30nM PGE1の存在によりAA凝集能が有意に抑制された.以上の結果よりシロスタゾールの薬効モニタリングにはPGE1の前処理が有用であることが示された. そこで、同意の得られたシロスタゾール服用患者を対象に同様の測定系で薬効モニタリングを実施したところ、3、10、30nM PGE1のいずれの存在下でも有意に抑制された.ROC解析では、30nM PGE1存在下での測定が最も大きいAUC(0.927)を示し、また、感度(90.5%)・特異度(88.4%)ともに良好であった. 今年度はin vitro、in vivoの実験を通じてシロスタゾールの薬効モニタリング法を構築することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に計画していた「PGE1至適濃度の検討」ならびに、「健常人による評価法の検証」が順調に進み、平成25年度に予定していた「シロスタゾール服用患者による評価法の検証」を前倒しして実施することができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に予定していた「シロスタゾール服用患者による評価法の検証」を前倒しして24年度より開始しており、測定症例数が30となった.ここまでの実験から、本研究により構築した薬効モニタリング法は、有効血中濃度において抑制を示しており、十分に実用的であると考えられる. 次年度では脳梗塞患者における血栓症の再発・出血性の副作用といった転帰と、薬効モニタリング法により測定された血小板機能抑制の程度との関連性について評価・解析する.すなわち、シロスタゾールを服用している脳梗塞患者を対象としてPGE1存在下にアラキドン酸惹起血小板凝集能(AA凝集能)を測定したのち、エンドポイントを脳梗塞、TIA、狭心症、心筋梗塞、心不全、出血性イベント(脳出血、くも膜下出血、入院を要する出血)に設定して、1年以上、経過を観察して評価・解析する.また、同時にシロスタゾールの血中濃度を測定して、エンドポイントに対する薬効モニタリング法の有用性についても評価する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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