2013 Fiscal Year Research-status Report
抗血小板薬シロスタゾールの薬効モニタリング法の開発ならびに有用性の検討
Project/Area Number |
24590687
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
佐藤 金夫 山梨大学, 医学部附属病院, 助教 (20242662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 勝弘 山梨大学, 医学部附属病院, 助教 (60382925)
尾崎 由基男 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (30134539)
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Keywords | 薬効モニタリング / シロスタゾール / 血小板凝集能検査 / 抗血小板療法 / 検査血液学 |
Research Abstract |
血小板凝集能検査は測定試料の作製に時間が掛かるため、半減期の短いcAMPは試料作製中に消失してしまい、凝集能検査によるシロスタゾールの薬効モニタリングはできなかった.そこで本研究では、PGI2の安定アナログであるPGE1でPRPを前処理して血小板内cAMPを生体内に近い状態にすることで薬効モニタリングの測定系の構築を目指した. 昨年度はアラキドン酸(AA)およびPGI2の安定アナログPGE1を用いることで、シロスタゾールの薬効モニタリング法を構築できたが、この測定系はアスピリンを始めとするNSAIDの影響を受けるため、アスピリンとの二剤併用療法や解熱・鎮痛薬を服用している患者ではシロスタゾールの薬効モニタリングができなかった.そこで、本年度はアスピリンの影響を受けにくい薬効モニタリング系の構築に取り組んだ.ADPを血小板活性物質として、種々の濃度のPGE1をあらかじめ添加して、シロスタゾールに対する影響を評価した.ADP凝集に対するPGE1の50%抑制濃度(IC50)は114±98nMであり、シロスタゾールの存在下では53±89nMで有意に低濃度で抑制された.そこで30~300nM PGE1存在下にADP凝集の変化を評価した.30nM、100nM、300nM PGE1でそれぞれシロスタゾール服用後に10%、37%、72%抑制され、アスピリン併用時においては12%、34%、47%抑制され、アスピリンの有無にかかわらず、同程度に抑制されていた.これらの結果より、シロスタゾールの薬効モニタリングには100~300nM PGE1の前処理したADP凝集が有用であると考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動脈血栓症における抗血小板療法の第一選択薬はアスピリンであり、シロスタゾール単独投与で治療されている患者は多くない.そこで、アスピリンとの二剤併用療法で治療されている患者においても薬効モニタリングできる測定法の開発を進め、予定通りに構築できた.また、シロスタゾールの服薬と予後との関連について登録を進める予定であったが、二剤併用療法下での薬効モニタリング法の構築に予定以上の時間がかかったため、このテーマについては次年度に繰り下げて実施することとなったので、当初の予定より実施スケジュールがやや遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
脳梗塞患者における血栓症の再発・出血性の副作用といった転帰と、薬効モニタリング法により測定された血小板機能抑制の程度との関連性について評価・解析する.すなわち、シロスタゾールを服用している脳梗塞患者を対象としてPGE1存在下にアラキドン酸惹起血小板凝集能ならびにADP惹起血小板凝集能を測定したのち、エンドポイントを脳梗塞、TIA、狭心症、心筋梗塞、心不全、出血性イベント(脳出血、くも膜下出血、入院を要する出血)に設定して、経過を観察して評価・解析する.また、同時にシロスタゾールの血中濃度を測定して、エンドポイントに対する薬効モニタリング法の有用性について評価する.
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Research Products
(1 results)