2013 Fiscal Year Research-status Report
パーキンソン病の心血管自律神経障害のグレリンとレプチンの関与の解明と治療への展望
Project/Area Number |
24590691
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中村 友彦 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (00437039)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 宏久 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任教授 (10378177)
平山 正昭 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30283435)
祖父江 元 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20148315)
|
Keywords | グレリン / レプチン / 起立性低血圧 / 食事性低血圧 / パーキンソン病 / 自律神経障害 |
Research Abstract |
25年度までにパーキンソン病患者31名について検査を行った。コントロールについては、11例のデータ収集を行った。 これらの症例に対して、起立性低血圧の評価のためにヘッドアップティルト試験を行い、ティルト前後での血圧、脈拍変化、心拍出量、末梢血管抵抗測定などデータ収集を行い、さらにグレリン、レプチン採血を行った。また食事性低血圧の評価のためにブドウ糖負荷も行い、1時間後に同様にデータを収集した。なお、血中グレリン、レプチン濃度測定は検体が一定数に達した際に測定を行うため、現時点ではパーキンソン病患者12例、コントロール5例については未分析の状態である。パーキンソン病についてはさらにUPDRS、ヤール重症度分類、罹病期間、OSIT-Jによる嗅覚機能、MIBG心筋シンチといった一般臨床データの収集は予定通り行った。 パーキンソン病群における収縮期血圧の変化はヘッドアップティルト試験では0.6 ± 10.3mm Hg、ブドウ糖負荷1時間後では-2.0 ± 13.4mm Hgであった。ヘッドアップティルト試験における血圧低下は、血中レプチン濃度のティルト前の低基礎値、ティルト後のレプチン濃度の低変化率、血中グレリン濃度の基礎値の低下と関連があった。またブドウ糖負荷1時間後の収縮期血圧の低下についても、レプチン濃度の低基礎値、ブドウ糖負荷後のグレリン濃度の低変化率との関連がみられた。 このことからレプチン基礎値、グレリン基礎値の低値やそのティルト時やブドウ糖負荷時の低変化率と起立性低血圧や食事性低血圧といった自律神経障害に関連性があることが示唆された。なお、その他UPDRSや重症度、OSIT-Jによる嗅覚機能などの各種臨床スコアとこれらホルモンとの関連性については現在分析を進めている段階であるが、現在のところ明確な関連性は見出していない。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までの達成度としてはやや遅れている状況である。その理由としては、症例設定数が当初の予定ではパーキンソン病患者は50例、コントロールが20例であった。しかしながら現在までのところパーキンソン病31例の実施、またコントロールについても、現在11例の実施となっているためである。しかしながら、現段階においてパーキンソン病19例について血中グレリン濃度やレプチン濃度測定を行い、起立性低血圧や食事性低血圧との関連性を見出しつつあり、これに関しては順調に進んでいると考えている。しかしコントロールについてはまだ実際にこれらのホルモン濃度の測定数が6例しかないため、まだ統計学的解析を行っていない状況である。またこれらのホルモン濃度やその変化率とUPDRS、ヤール重症度分類、罹病期間、OSIT-Jによる嗅覚機能、MIBG心筋シンチといった一般臨床データとの関連については明確な関連性は見出していないため、さらに症例数を蓄積してデータを解析していく必要があり、現段階ではやや遅れている状況と考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
26年度の計画としてさらに症例の蓄積を行い、それにより詳細に病態解明に務める。また25年度までの症例では起立性低血圧や食事性低血圧を来す例が少なかった。今後はこれらの低血圧をきたすような症例に対して積極的に検査を推めいてくことが重要であり、本研究開始以前に当院で自律神経機能検査を施行して、起立性低血圧を来たし現在も当院に通院しているような症例を積極的に本研究への参加を呼び掛ける予定である。また起立性低血圧はもともとパーキンソン病において出現頻度が多くないということもあり、必ずしも20mmHg以上の低下にこだわらず、起立時に血圧低下を来す例とそうでない例での差違、起立時に末梢血管抵抗収縮が見られる例と収縮不全を来す例や心収縮力変化の異なる例などにおけるホルモン動態の変動に注目して検討を進めていく。
|
Research Products
(2 results)