2014 Fiscal Year Annual Research Report
難治性白血病の分子機構の解明:FLT3ーITDによる薬剤耐性と関連分子の診断応用
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24590709
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
宮地 勇人 東海大学, 医学部, 教授 (20174196)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 白血病 / 抗がん剤耐性 / 遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、急性骨髄性白血病の予後不良な遺伝子異常として知られている FLT3-ITDを有する白血病細胞において、抗がん剤耐性の機序を明らかにするため、抗がん剤耐性をもたらす遺伝子発現異常と関連分子について、新たなバイオマーカーとしての意義を明らかとし、それらを指標とした抗がん剤耐性の評価法を確立することを目的とした。 骨髄微小環境におけるFLT3-ITD陽性白血病細胞の増殖優位性に寄与しうる遺伝子発現を知るため、DNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現プロファイリングを行った。2つのFLT3-ITD導入株化培養白血病細胞(K562)において、41,000遺伝子の内、311遺伝子が発現亢進し、18遺伝子が発現低下していた。これらから、細胞増殖、増殖因子受容体、細胞外マトリックス受容体に関連する遺伝子に着目した。細胞増殖関連のFGFR1, IGFBP2, NNMT、RUNX3をコードする遺伝子、キナーゼ型activin受容体、細胞外マトリックスfibronectin受容体、very late antigen (VLA)4受容体などの遺伝子発現の亢進が明らかとなった。 遺伝子発現プロファイリング結果を踏まえて、急性骨髄性白血病の予後不良因子として報告されているFLT3下流シグナルのRUNX3に着目し、RUNX3発現の制御と意義を検討した。レポータアッセイでFLT3-ITDの株化培養白血病細胞へのトランスフェクションは、用量依存性にRUNX3プロモータ活性を上昇させ、これは阻害剤(PKC4)にて抑制された。shRNAのノックダウンにて、FLT3導入細胞および内在保有する細胞において、ara-C耐性が低下した。RUNX3の導入による過剰発現にてara-C耐性が増強した。以上より、RUNX3はFLT3-ITD陽性白血病細胞のara-C耐性に不可欠な分子であり、診断指標さらに治療標的の分子マーカー候補となると考えられる。
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