2012 Fiscal Year Research-status Report
マクロファージ機能・炎症を標的とした肥満・糖尿病血管合併症の早期診断と治療戦略
Project/Area Number |
24590719
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Department of Clinical Research, National Hospital Organization Kyoto Medical Center |
Principal Investigator |
佐藤 哲子 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 糖尿病研究部, 研究室長(臨床代謝栄養) (80373512)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小谷 和彦 自治医科大学, 医学部, 講師 (60335510)
長谷川 浩二 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 展開医療研究部, 部長 (50283594)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | マクロファージ / 肥満 / 2型糖尿病 / 血管合併症 / 炎症 / 臨床研究 |
Research Abstract |
本研究では、糖尿病と肥満症コホートと各科との連携を基盤に、ヒト頸動脈硬化巣、内臓・皮下脂肪組織、腎生検サンプルを用いて検討を行った。 1、頸動脈内膜剥離術施行23例において、末梢血単球と摘出プラークにおける炎症性M1マーカー(IL-6・TNFα)、抗炎症性M2マーカー(IL-10)や接着因子(ICAM-1・VCAM-1)の発現を検討した。肥満を有すると、単球中のIL-10発現低下傾向とプラーク内のVCAM-1の有意な上昇を認めた。また、糖尿病を有すると、単球中の有意なTNFαとICAM-1の上昇及びIL-10の低下とプラーク内のIL-6とTNFαの上昇を認めた。以上より、糖尿病や肥満ではプラークへのMφ浸潤増加と末梢血単球・プラーク内MφのM1上昇/M2低下が頸動脈硬化症を進展させる可能性が示唆された。 2、2型糖尿病24例において、DPP4阻害薬・シタグリプチンの3ヶ月投与により、血中GLP-1濃度の上昇、血糖、HbA1c、酸化LDLやhsCRPの有意な低下と動脈硬化指標・CAVIの改善傾向を認めた。更に、末梢血単球中のIL-10の発現上昇とTNFαの発現低下が認められた。(Metabolism 62, 2013)。次に、作用機序について検討した。8週齢のC57BL6Jマウスに高脂肪食負荷を行い、exendin-4(Ex-4)またはEx-9を4週間投与した。Ex-4投与群では、対照群やEx-9投与群より腹腔内Mφの接着能・遊走能の低下を認めた。以上より、インクレチン関連薬により単球/MφにおけるM1/M2タイプや接着能/遊走能が改善され、抗動脈硬化作用に寄与する可能性が示唆された。 本研究にてヒトMφ機能を標的とした「新規心腎脳血管病発症診断・予防法」が新たに構築され、保健指導等の治療法選択の為の新基準になれば、CVD・CKD発症予防、QOLの改善や医療費抑制に貢献できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1、2013年4月時点で肥満症・MetSの多施設共同前向きコホート登録数が目標例数・1000例を超え、1275例に達し大規模データベース構築に成功している。また、研究計画にあった評価項目の検討も順調である。また、追跡調査においても70%前後の追跡率を維持し、5年追跡症例数も635例に達している。 2、申請者は、インクレチン関連薬によるMφ機能改善効果を報告し、英文論文としてアクセプトされている(Satoh-Asahara N et al. Metabolism 62:347-351, 2013)。 3、京都医療センター脳神経外科との連携により得られた頸動脈内膜剥離術(Carotid endarterectomy: CEA)施行例の頸動脈硬化巣(粥腫/内膜)による検討も進め、糖尿病や肥満では、プラークへのMφ浸潤増加と末梢血単球・プラーク内マクロファージのM1/M2バランスの悪化が頸動脈硬化症を進展させる可能性について学会報告を行った(第33回日本肥満学会, 2012)。 4、動物実験についても腹腔内Mφの接着能・遊走能は高脂肪食負荷マウスでは悪化し、一方Ex4投与によりそれらが改善することを学会報告した(第33回日本肥満学会, 2012)。 5、肥満・動脈硬化関連213遺伝子712SNPs遺伝子多型の調査が完了しており、Mφ機能異常に影響する遺伝素因の検討についても解析の準備を整えている。 以上より、平成24年度における研究達成度は「②おおむね順調に進展している。」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
I.臨床的研究:糖尿病・肥満症前向きコホートにおける縦断研究 (1)生活習慣改善や薬物治療による検討:減量・禁煙・薬物療法、特に新規糖尿病薬・インクレチンやPPARリガンド(TZDs・EPA等)投与による単球・組織Mφ機能、TLRs/NF-κB伝達系やペリリピンなど脂肪分解関連酵素の単球・Mφ中発現変化と心腎脳血管合併症の予後(新規発症・進展)の改善効果を追跡し、インクレチン等のMφ機能改善を介した新しい動脈硬化作用機序を解明する。 (2)単球・組織Mφ機能改善に関連する糖脂質・肥満・動脈硬化関連遺伝子SNPsの同定:上記減量・薬物治療による単球・Mφ機能改善に寄与するSNPsを同定し、オーダーメイド医療を目指す。 II.動物実験 (1)インクレチンやスタチン等の生活習慣病薬による組織Mφ機能改善効果の検討:肥満・動脈硬化モデルにて上記薬剤を投与し、血中単球・組織Mφの遊走能・接着能・M1/M2比及び脂肪分解・泡沫化因子の発現変化を検討し、炎症・動脈硬化進展抑制効果を検討する。 (2)TLR4及びMD-2KOマウスやTLR遺伝子操作マウスを用いて、遺伝性動脈硬化ApoE KOマウスと交配することにより、動脈硬化の発症・進展における当該分子の病態意義を明らかにする。血中・動脈壁・脂肪組織のMφ機能や脂肪酸分析を行い、PPARリガンドやインクレチンによる効果とその機序を解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
申請者らはこれまで、肥満・糖尿病・メタボリック症候群の病態生理やその合併症・心血管病リスク・慢性腎臓病に関する研究を基礎的・臨床的に施行してきたため、本研究課題における研究計画の大部分は現所属の研究センター(京都医療センター)及び分担・連携研究者の実験施設(東京医科歯科大学・自治医科大学)の現有設備で行うことが可能である。よって研究経費の大部分は、ヒト・マウスのホルモン測定のためのELISAキット代や血液検査外注費、試薬類及び実験動物などの消耗品費と研究補助の謝金に充てる。特に、ヒト単球の機能解析の為のMACS/FACSの抗体については、1抗体あたり約5万で、4種類の場合20万円、real-time PCRの反応には400反応あたり10万円やマイクロアレイなどの分子生物学的実験の費用が必要である。細胞培養実験におけるメディウムや分子生物学関連試薬代、遺伝子改変動物を含めた飼育費なども必要となる。特に平成25年度以降において遺伝子操作マウスを含めた相当数のマウスの維持費も必要とする。 1.消耗品:①ヒト・マウスホルモン測定(ELISAキット代・血液検査外注費):約20万円、②分子生物学関連試薬(MACS/FACSの抗体、PCRのプローブ・キット等):約20万円、③培養関連試薬(ウシ胎仔血清、メディウムと試薬費)(細胞実験):約10万円、④飼育管理費(動物の購入代、管理代、餌代含む)(動物実験):約10万円 2.旅費:国内外の各学会での成果発表のための旅費:約30万円 3.謝金:研究補助員数名の実験補助代、外国語論文の校閲:約60万円 4.その他:印刷費・研究成果投稿料等:約10万円
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Research Products
(17 results)
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[Journal Article] A Dipeptidyl Peptidase-4 Inhibitor, Sitagliptin, Exerts Anti-inflammatory Effects in Type 2 Diabetic Patients.2013
Author(s)
Satoh-Asahara N, Sasaki Y, Wada H, Tochiya M, Iguchi A, Nakagawachi R, Odori S, Kono S, Hasegawa K, Shimatsu A
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Journal Title
Metabolism
Volume: 62
Pages: 347,351
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Highly Purified Eicosapentaenoic Acid Increases Interleukin-10 Levels of Peripheral Blood Monocytes in Obese Patients with Dyslipidemia.2012
Author(s)
Satoh-Asahara N, Shimatsu A, Sasaki Y, Nakaoka H, Himeno A, Tochiya M, Kono S, Takaya T, Ono K, Wada H, Suganami T, Hasegawa K, Ogawa Y.
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Journal Title
Diabetes Care
Volume: 35
Pages: 2631-2639
DOI
Peer Reviewed
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