2014 Fiscal Year Annual Research Report
神経障害性疼痛における骨髄由来ミクログリアを介した治療戦略
Project/Area Number |
24590729
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
新山 幸俊 札幌医科大学, 医学部, 講師 (90423764)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤田 敦史 札幌医科大学, 医学部, 助教 (10551492)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 骨髄由来ミクログリア / 扁桃体 / 神経障害性疼痛 / 情動 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経障害性疼痛に代表される慢性の痛みは抑うつなどの不安情動を惹起するが,その機序は解明されていない.近年,脳内には前駆細胞由来のレジデントミクログリアだけでなく,侵害刺激を契機として骨髄由来単球細胞が脳内に移行・分化した骨髄由来ミクログリア(bone-marrow derived microglia: BMDM)が存在しており,さまざまな刺激を契機に中枢神経系に発現することが報告されている.われわれはこれまでに坐骨神経を部分結紮して作成した神経障害性疼痛モデルマウスにおいて,結紮4週後に扁桃体中心核へのBMDMの集積と高架式十字迷路試験による不安・抑うつ行動が認められることを確認した. 今回,われわれは分子生物学的解析を行い,神経障害性疼痛モデルマウスの扁桃体中心核にはinterleukin(IL)-1β,C-C chemokine receptor type 2 (CCR2)およびCCR2のリガンドであるmonocyte chemotactic protein-1(MOP-1)がシャムマウスに比べて多く発現していることを明らかにした.また,神経障害性疼痛モデルマウスに対してCCR2拮抗薬を内服させることで,内服させない神経障害性モデルマウスと比較して,扁桃体中心核のCCR2の発現および不安・抑うつ行動を有意に減少させた. 以上より,骨髄由来ミクログリアは扁桃体中心核におけるMCP-1/CCR2の相互作用を介して,神経障害性疼痛により惹起される不安情動の発生機序に関与していることが明らかにされた.本研究は慢性の痛みにより惹起される不安情動に対する新たな治療戦略を提示した.
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