2012 Fiscal Year Research-status Report
慢性疼痛を担う神経-血管新生ネットワークの分子基盤解明
Project/Area Number |
24590730
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
岸岡 史郎 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (60137255)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木口 倫一 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (90433341)
小林 悠佳 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (20511562)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 神経障害性疼痛 / VEGF / 血管内皮細胞 / マクロファージ / CXCR4 / サイトカイン / ケモカイン / 坐骨神経 |
Research Abstract |
慢性疼痛の病態生理にはサイトカインネットワークに基づく末梢神経炎症が密接に関与する。末梢神経炎症を担う神経-血管新生ネットワークの分子基盤解明を本研究の目的とした。 坐骨神経部分結紮モデルマウスを用い、生化学的、組織化学的および行動薬理学的手法により各種解析を行った。 傷害坐骨神経における血管新生をDiI蛍光色素灌流により評価したところ、傷害7日以降より経日的に異常新生血管の増加が認められた。DiI標識された血管は、血管内皮細胞マーカーであるCD31の局在と完全に一致していた。また傷害神経において、血管新生因子であるVEGFAおよびその受容体の発現増加が観察された。VEGFAの中和抗体を傷害坐骨神経周囲に局所投与すると、PSL後に生じる触アロディニアおよび熱痛覚過敏が減弱した。マクロファージのフェノタイプのうち、血管新生マクロファージはTie2やCXCR4の発現により特徴付けられる。傷害神経において、それらTie2およびCXCR4陽性マクロファージの集積が認められた。ミノサイクリンおよびCXCR4拮抗薬を用いて血管新生マクロファージを抑制すると、PSLによる神経障害性疼痛が減弱した。 本年度の結論として、末梢神経炎症を担う血管新生の亢進ならびにその調節因子の発現増加を明らかにした。血管新生が関与する末梢神経炎症調節機構は、慢性疼痛の分子基盤において重要な役割を担うことが示唆され、今後の更なる発展が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
期間全体における目標は、慢性疼痛の病態生理における神経-血管新生ネットワークの関与を明らかにすることである。特に初年度は新生血管網の可視化ならびに血管新生因子の発現解析を主に計画していた。前述の通り、申請者らの仮説を支持する新たな知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、血管新生を軸とした慢性疼痛制御機構に焦点を当てた検討を行う。具体的には一次知覚神経の興奮性に及ぼす血管新生関連因子の影響など、神経-血管間のクロストークについて評価する。さらに末梢感作による中枢感作制御機構の解明を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は主に消耗品費、旅費として用いる。生化学実験、組織化学実験などに必要な試薬、キット類およびディスポーザブル器具の購入費とする。また本年度に十分な成果が得られたため、精力的に学会発表を行う計画であり、旅費を計上する。
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Research Products
(15 results)