2013 Fiscal Year Research-status Report
慢性疼痛を担う神経-血管新生ネットワークの分子基盤解明
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24590730
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
岸岡 史郎 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (60137255)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木口 倫一 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (90433341)
小林 悠佳 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (20511562)
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Keywords | 神経障害性疼痛 / VEGF / 血管内皮細胞 / マクロファージ / サイトカイン / ケモカイン / エピジェネティクス / 坐骨神経 |
Research Abstract |
慢性疼痛の病態生理はサイトカインネットワークを基盤とした慢性神経炎症により調節されている。本研究では神経-血管ネットワークを介した末梢神経炎症(末梢感作)制御機構について検討を行った。 マウスの坐骨神経に部分結紮を施すと、神経障害性疼痛様行動が惹起された。傷害末梢神経における血管網を組織化学的に評価すると、異常新生血管の顕著な増加が認められた。この血管新生の亢進は、ex vivoイメージングによっても裏付けられた。また血管新生に重要な役割を果たす血管内皮増殖因子(VEGF)の発現が、末梢神経傷害後に集積するマクロファージや好中球において増加することも見出した。その発現増加は、遺伝子プロモーター領域におけるエピジェネティック調節に基づいていることも確認された。VEGF受容体もまた、傷害末梢神経において発現増加しており、それらはマクロファージまたは血管内皮細胞に発現することが組織化学解析により示された。VEGFリガンドまたはその受容体に対する薬理学的阻害薬を傷害末梢神経周囲に投与すると、神経障害性疼痛が抑制された。加えて、血管新生マクロファージがこれらの現象ならびに神経障害性疼痛に密接に関与することも明らかにした。 本年度までの結果を踏まえると、末梢神経傷害後にはエピジェネティクス調節を介してVEGFなどの血管新生因子の発現が増加する。これらは異常血管新生を促進し、神経炎症の慢性化ならびに神経障害性疼痛の病態維持に重要な役割を果たすと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、慢性疼痛の病態生理における神経-血管新生ネットワークの関与を明らかにすることである。本年度は血管新生の亢進に加え、その調節因子の同定ならびに発現増加機構についても重要な知見が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の目標は、神経-血管ネットワークを標的とした慢性疼痛治療標的を提示することである。一次知覚神経の応答変化などの検討を加え、治療ストラテジーの確立を目指す。
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Research Products
(10 results)