2014 Fiscal Year Annual Research Report
室内環境汚染物質2-エチル-1-ヘキサノールによる鼻のシックハウス症状の解明
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24590752
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
三宅 美緒 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (80128610)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 龍雄 中京大学, スポーツ科学部, 教授 (60262896)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 2-エチル-1-ヘキサノール |
Outline of Annual Research Achievements |
9週齢ICRマウスを4群に分け、それぞれに2-エチル-1-ヘキサノール(2EH) 0、20、60、150 ppmを7日間、1ヶ月間、3ヶ月間曝露した後、解剖をして嗅粘膜と嗅球を摘出し、それぞれ切片を作製した。 嗅粘膜切片には、HE染色、高鉄ジアミン染色、嗅神経マーカー(OMP)、球形基底細胞マーカー (PCNA) による免疫染色を、嗅球標本にはOMP、ドーパミン作動性神経マーカー (TH)、ミクログリアマーカー (Iba1)、新生ニューロンマーカー (Dcx) の免疫染色を行った。 2EH曝露7日後に嗅上皮の粘液層が消失し、嗅細胞が疎になり、好中球の浸潤が見られ、ボウマン腺が消失した。1ヶ月曝露後の形態学的変化は見られなかった。3ヶ月曝露後の嗅上皮は、ボウマン腺の膨張に伴い上皮及び粘膜固有層の間隙が大きくなり、リンパ球の浸潤が見られた。OMPの発現は、曝露7日後と3ヶ月後の嗅上皮で濃度依存的に減少したが、1ヶ月後は変化が見られなかった。PCNAは、2EH曝露1週間後に減少し、1ヶ月後には増加し、3ヶ月後には再び減少した。 3ヶ月曝露後の嗅球では、糸球体の厚さや OMP、THの発現量が減少傾向を示し、Iba1は増加傾向を示し、Dcxは高濃度で増加した。 以上の結果により、2EH7日後の嗅上皮に急性の炎症が起こり、1ヶ月後に回復し、3ヶ月後には慢性の炎症に移行したことが推察される。また、3ヶ月曝露後の嗅球の新生ニューロンの増加はミクログリアの関与が考えられ、ドーパミン作動性神経の減少は、このニューロンにより回復するかもしれない。
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