2014 Fiscal Year Annual Research Report
手指消毒薬の成分がアトピー性皮膚炎に及ぼす影響とその作用機序に関する研究
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24590753
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Research Institution | Oita University of Nursing and Health Sciences |
Principal Investigator |
定金 香里 大分県立看護科学大学, 看護学部, 助教 (20322381)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / 手指消毒薬 / トリクロサン / クロロキシレノール / イソプロピルメチルフェノール / 動物実験 / NC/Nga系マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
24年度からの研究により、手指消毒薬有効成分のうち、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムにはモデルマウスのアトピー性皮膚炎を増悪する作用があり、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、アクリノールには増悪作用がないことがわかった。本年度は、トリクロサン(TCS)、クロロキシレノール(CX)、イソプロピルメチルフェノール(IPMP)について検討した。 アトピー素因を有するNC/Nga系マウスの耳介皮下にダニ抗原を頻回投与し、アトピー性皮膚炎を誘発した。誘発期間中、0.3%(w/v) TCS、1.0%(w/v) CX、0.1%(w/v) IPMP(いずれも一般的に使用されている濃度)を1~2日ごとに計15回、炎症誘発部位にそれぞれ塗布した。 その結果、TCSを塗布した群では、アトピー性皮膚炎様症状の有意な増悪を認めた。一方、CX、IPMPでは塗布による増悪を認めなかった。TCSの塗布では皮下組織中のマスト細胞数と促炎タンパクIL-1β産生の有意な増加、好酸球数の増加傾向を認めた。しかし、IL-13やIL-33、TSLP、MIP-1αなど炎症に関連した他のタンパクの増加は見られなかった。一方、CX、IPMPを塗布した群ではIL-18産生が有意に増加していたが、他の指標については影響が認められなかった。血清中の抗体価は、いずれの塗布群でも低下傾向に有り、CX、IPMPを塗布した群では総IgE抗体量が有意に低下していた。 以上の結果から、TCSにはアトピー性皮膚炎増悪作用があることが示された。病理・生化学的解析から、Th2型アレルギー反応の亢進ではなく、自然免疫応答の活性化により炎症が増悪したと考えられる。一方、CX、IPMPでは、Th2型のアレルギー反応の亢進や炎症細胞の活性化が生じず、従って症状にも増悪が認められなかったと考えられる。
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Research Products
(3 results)