2013 Fiscal Year Research-status Report
環境内の薬剤耐性菌拡散メカニズムにおけるハエと家ネズミの役割
Project/Area Number |
24590754
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
田村 豊 酪農学園大学, 獣医学群, 教授 (50382487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
臼井 優 酪農学園大学, 獣医学群, 講師 (60639540)
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Keywords | 耐性菌 / 拡散 / ハエ / ネズミ / プラスミド |
Research Abstract |
①セファロスポリン耐性大腸菌4株をドナー株、リファンピシン耐性大腸菌をレシピエント株として、in vitro及びin vivoでの接合伝達試験を行った。in vitroは、通常のbroth mating法で行った。in vivoは、実験室内で飼育しているイエバエを使用し、ドナー及びレシピエントを飲ませた後にホモジェナイズし選択培地に接種することで接合伝達頻度を算出した。in vitroにおいて、ドナー株全てでセファロスポリン耐性遺伝子が10-2~10-8の頻度で伝達した。in vivoにおいて、in vitroでの伝達頻度が10-2だった株は、10-5の頻度で伝達した。in vitroの伝達頻度が10-5より低い3株は、伝達を確認できなかった。多様な菌が混在しているハエ腸管内においてもセファロスポリン耐性遺伝子が水平伝達したことから、ハエ腸管内において薬剤耐性遺伝子が水平伝達することが明らかとなった。 ②豚農場4ヶ所、牛農場3ヶ所において、原則1か所あたり糞便10検体、ハエ20検体を採取した。豚糞便40検体、牛糞便30検体、ハエ130検体(イエバエ:74、キンバエ:31、サシバエ:6、その他:19)から大腸菌を分離した。豚糞便18/40検体(45%)から41株、牛糞便23/30検体(77%)から37株、豚農場のハエ27/80検体(34%)から27株、牛農場のハエ18/50検体(36%)から18株の大腸菌が分離された。テトラサイクリンに耐性を示した株の割合は、豚糞便、牛糞便、豚農場のハエ、牛農場のハエでそれぞれ83,22,89,28%であった。農場におけるハエ由来大腸菌のテトラサイクリン耐性割合は、牛農場由来大腸菌に比べて豚農場由来大腸菌の方が高く、その耐性割合は家畜糞便由来株での耐性割合と類似していた。以上のことは、ハエが家畜糞便から耐性菌を伝播していることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験計画に沿って結果がでており、家畜からの耐性菌伝播におけるハエの役割が明らかとなってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
ウジへの垂直伝搬、ウジから家畜への伝播についての試験を実施する予定である。 また、ネズミからの菌分離について、大腸菌の分離率が低かったことから、腸球菌を対象にした試験を実施し詳細を解析する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定よりも順調に試験が進んだため、消耗品等について少ない額で試験を実施することができたため。 家畜を用いた試験も実施する予定であることから、家畜の管理費などに使用する予定である。
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Research Products
(4 results)