2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24590758
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中野 真規子 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (70384906)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | インジウム / 肺機能検査 |
Research Abstract |
新しい職業性肺疾患であるインジウム肺は、2010年12月に厚生労働省から「インジウム・スズ酸化物等の取扱い作業による健康障害防止に関する技術指針」および2013年1月に特定化学物質の第2類物質に指定され、間質性肺炎や続発性慢性閉塞性肺疾患の発症防止目的の職場健診が義務となった。本研究では、肺疾患の評価のための胸部CTにかわる代用検査として、簡易で、健康被害が少ない、効果的な影響指標の1つと考えられる肺拡散能検査(%DLco)を測定し、その有用性を検討することである。 平成24年度は、9工場(147名)に肺拡散能検査を含めた肺機能検査、血清インジウム濃度、間質性肺炎のマーカー(KL-6など)を測定することができた。 77名の中間解析の結果は、平均年齢は43歳、喫煙率は64%、平均血清インジウム濃度(In-S)は5.7 ng/ml、平均%DLco(DLco実測値/DLco予測値) は80.8%であった。対象者をIn-Sにより4群(低・中・高・超高濃度群:In-S<1, 1≦In-S<3, 3≦In-S<20, 20≦In-S)に分類すると、低・中・高・超高濃度群で、%DLcoの平均値は84.9%、80.1%、83.2%、59.7%と超高濃度群で有意に低下した。超高濃度群の平均値の95%信頼区間:44.7-74.8%。また、%DLcoは、log(KL-6)、log(SP-D)とも有意に高い相関を示した。インジウム曝露による影響指標の1つとして有用であることが示唆された。さらに対象数を増やすために調査を継続し、最終的には胸部CT(胸部高分解能CT)による間質性変化および気腫性変化のスコアと%DLcoの関係を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、9工場(147名)で調査を行い、肺拡散能検査を含めた肺機能検査、血清インジウム濃度、間質性肺炎のマーカー(KL-6など)を測定することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は疫学調査であり、研究内容、研究費の用途ともに平成25年度も平成24年度同様に本研究調査(曝露指標:血清インジウム濃度。影響指標:呼吸器系自覚症状、胸部高分解能CT (HRCT)、スパイロメトリー(肺活量、努力性肺活量、一秒量、一秒率)、間質性肺炎のバイオマーカー(血清KL-6など)、肺拡散能検査など)を推進継続していく予定である。 検討内容は、胸部CTによる画像所見の間質性変化および肺気腫と両疾患(間質性肺炎、肺気腫)による肺機能低下を総合評価および量的尺度化できる肺拡散能検査を比較し、慢性影響の新たな曝露指標となるか、また、胸部CTに対して非劣性検査項目であるか、を確認する。 中野、大前(連携研究者)、田中(九州大学 医学研究科 講師)(研究協力者)が対象工場・従業員との調整にあたり、中野、大前(連携研究者)、田中(研究協力者)、平田(九州大学 医学研究科 助教)(研究協力者)および慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教室 吉岡範幸、岩澤聡子、および、博士課程大学院生(以上研究協力者)が調査を実施する。中野、大前(連携研究者)、教室員、および、大学院生は健康影響調査を担当する。解析は、中野、大前(連携研究者)が主として実施する。 平成25年度末には、成果報告書を作成する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
未使用額の発生は、当初予定していた国際学会発表をとりやめたため、平成24年度の研究費に未使用額が生じたが、平成25年度は国際学会発表予定であわせて使用する。平成25年度の申請する研究費は、平成24年度同様に肺拡散能測定を含む肺機能検査のための消耗品購入、対象工場までの旅費・宿泊費、国内・国際学会発表のための参加費・旅費等に充当する。
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Research Products
(6 results)