2012 Fiscal Year Research-status Report
温冷環境下での一過性血圧上昇に対する循環調節機能の日内変動特性に関する実験的研究
Project/Area Number |
24590762
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
青木 健 日本大学, 医学部, 助教 (60332938)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 洋二郎 日本大学, 医学部, 助教 (60434073)
岩崎 賢一 日本大学, 医学部, 教授 (80287630)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 温熱環境 / 脳循環調節 / 心循環調節 / 日内変動 / 血圧変化 |
Research Abstract |
これまでの研究より、暑熱環境下(家庭内での入浴など)において、ヒトの脳循環系や心循環系の神経調節は著しく低下し、特に朝は他の時間帯に比べて、起立耐性の低下(倒れやすくなる)が顕著となることが判明している。さらにそのような状況下において、一過性に血圧が低下した場合の心循環応答についても、朝はその低下度が大きいことも明らかにしてきた。 一方で、家庭での入浴時の事故原因の一つとして、突然の環境温度の変化による影響(サーマルショック)が考えられているが、実際に一過性の血圧上昇が生じた際の脳・心循環系の応答についての時間帯による変動の有無については明らかではない。そこで、本研究では、異なる3つの温度状態において、軽度な一過性の血圧上昇に対する循環調節への影響について、特にその日内変動特性に着目して検討を行うこととした。 その中で本年度においては、暑熱環境下において、軽度な一過性の血圧上昇が生じた際の脳・心循環系の神経調節機能における日内変動特性について、朝と夕方で比較検討を行うことを計画とした。 実施に先立ち、研究全体における実験計画の実施に関して、本学部倫理委員会における承認を得たのち、安全かつ適切な実験遂行のための予備的な実験データの収集および分析を行った。常温および受動的温熱刺激により体温上昇がみられる状態で、下肢方向に血液が集まるような負荷を行った後、その負荷を停止することにより(下肢に集まった血液が上肢に急速に戻るため)軽度の一過性血圧上昇が認めらえる。結果として、常温状態においては、一過性の血圧上昇に対する心拍応答は、朝のほうが夕方に比べて優れている傾向にあり、受動的温熱刺激による暑熱環境下においてもその日内変動特性の傾向が維持されていた。したがって、引き続き同条件での実験データ収集を実施することの有用性が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度において、本研究全体の遂行にあたり最も重要な事項となる当学部倫理委員会での審査を経て、3か年にわたる一連の実験についての実施許可を受けた。さらに実験遂行にあたりデータ収集に必要な測定機器や物品の整備なども実施し、詳細な実験条件や手順を決定するための予備的なデータ収集および解析をするまでに至った。これらを通して得られたデータは、これまでに実施した実験によるデータとの相関も高いことから、本研究における実験手順等は妥当なものであると判断している。今後、大規模な測定上のシステム変更等は予定されておらず、これまでに実施してきた一連の実験と類似の実験手法を用いることで、本格的なデータを取得することが可能であると予想される。 一方、実験施設における物理的および時間的な制約などもあり、本実験による統計処理を実施するまでの実験データ数の取得には至っていないが、次年度より本格的にデータ収集を実施する目途はついていることから、概ね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究を推進するうえで重要となる実験環境および測定機器などの整備については、すでに構築されていることから、次年度以降、被験者の募集を行ったうえで、本実験を開始できる状況にあり、随時、各実験を実施していく。なお、実験施設の使用については他の研究プロジェクトとの調整を含め、共同研究者との連携をより密に保ち、効率的な運用を実施できるよう図っていくこと、また被験者についても、募集範囲を広げることなどにより多くの人員を確保できるよう図る予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度購入した測定機器の価格が、当初の算定よりも安価となったこと、ならびに被験者を募集する形での本実験未実施における謝金割り当て分などを次年度に繰り越すこととした。次年度については、本年度実施予定であった、(1)暑熱環境下における、軽度な一過性の血圧上昇が生じた際の脳・心循環系の神経調節機能における日内変動特性を検討するための本実験を最初に実施し、その後、当初より平成25年度の実験計画として予定されている(2)寒冷環境下における同様の本実験を続けて実施する計画であることから、それらの実験に参加する被験者への謝金としての使用が見込まれる。また一部、データ測定用のプログラムに関してアップデートの必要性も予想され、実験に必要な消耗品などの購入と合わせて、本年度からの繰り越し分もまとめて、次年度に使用をする計画である。
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