2013 Fiscal Year Research-status Report
温冷環境下での一過性血圧上昇に対する循環調節機能の日内変動特性に関する実験的研究
Project/Area Number |
24590762
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
青木 健 日本大学, 医学部, 助教 (60332938)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 洋二郎 日本大学, 医学部, 助教 (60434073)
岩崎 賢一 日本大学, 医学部, 教授 (80287630)
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Keywords | 温熱環境 / 脳循環調節 / 心循環調節 / 日内変動 / 血圧変化 |
Research Abstract |
これまでの研究により、暑熱環境下(家庭内での入浴や夏季における学校等空調のない屋内施設での運動時等)において、ヒトの脳循環系や心循環系の神経調節は著しく低下し、特に朝の時間帯は他の時間帯に比べて、起立耐性低下(倒れやすくなる)が顕著となることを報告した。さらにそのような状況下において、一過性に血圧が低下した場合の心循環応答についても、朝の時間帯は夕方などの時間帯に比べてその低下度が大きいことも明らかにした。 一方で、家庭内での入浴時における事故原因の一つとして、突然の温度環境変化による影響(サーマルショック)が考えられているが、実際に一過性の血圧上昇が生じた際の脳・心循環系応答についての時間帯による変動の有無については明らかではない。そこで本研究では、異なる温度状態において、軽度な一過性の血圧上昇に対する循環調節への影響について、特にその日内変動特性に着目して検討を行っている。 その中で、本年度においては、昨年度からの継続となる「暑熱環境下における軽度な一過性の血圧上昇に対する脳・心循環系の神経調節機能における日内変動特性」についての実験データの収集を第一に実施した。 結果として、常温状態においては、先行研究における一過性血圧低下時にみられる反応の日内変動特性と同様に、一過性の血圧上昇に対する心拍応答は、朝のほうが夕方に比べて優れており、さらに受動的温熱刺激による暑熱環境下においてもその日内変動特性は維持されており、同条件下での先行研究における一過性血圧低下時にみられる反応では日内変動特性が消失するのとは異なる結果となった。 また、寒冷環境下での一過性の血圧低下に対する循環応答についても、実験データの収集を開始し、現在継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度中おいて、本研究を推進するために必要な実験環境を構築したことにより、本実験実施が可能となり、実際に被験者を募った実験を開始し、本格的なデータ収集および解析をするまでに至った。得られたこれらのデータは、昨年度実施した予備的な実験データとの相関も高く、妥当性の高い知見であると判断している。 また、次に寒冷環境下での同様の実験についても開始しているが、実験施設や人員配置に関する物理的および時間的な制約などもあり、年度内に統計処理を実施するまでの実験データ数の取得には至っていないが、実験手順等は確立されていることから、概ね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに、実験環境は構築されており、また実験手順等も確立されていることから、次年度については、随時、実験を実施していく。なお、実験施設の使用および実験実施にあたる人員の時間確保について、他の研究プロジェクトとの兼ね合いもあり、引き続き調整が難しい面もあることから、より効率的な施設、時間面での運用を実施できるように図っていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度購入分の測定機器の価格が、当初算定よりも安価となったことなどから、繰り越し分も含め平成25年度開始時においては、交付決定時の予算額を上回る金額からの使用となったが、これまで使用していた機器の老朽化に伴い測定機器の追加購入等をしたことにより、本年度終了時には交付決定時の予算支出額に近い状況になった。一方、実験参加の被験者の都合などから一部、次年度に実施予定が繰り下げられたこともあり、次年度への若干の繰越額が生じている。 次年度については、引き続き関連の本実験を続けて実施していくことから、それらの実験に参加する被験者への謝金や測定時に必要な消耗品の追加購入への使用が見込まれる。また、分析用コンピュータのアップデートに伴い、統計処理用ソフトの新規購入も予定している。
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