2013 Fiscal Year Research-status Report
職場勤務者のメタボリック症候群関連指標とメンタルヘルスに関する総合的研究
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24590763
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
川田 智之 日本医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00224791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 俊昭 日本医科大学, 医学部, 准教授 (80339374)
稲垣 弘文 日本医科大学, 医学部, 講師 (50213111)
若山 葉子 日本医科大学, 医学部, 講師 (40104062)
勝又 聖夫 日本医科大学, 医学部, 助教 (80169482)
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Keywords | 心理的安寧 / 生活習慣 / 睡眠時間 / インスリン / メタボリック症候群 / C反応タンパク / リスク評価 / 労働者 |
Research Abstract |
【はじめに】メタボリックシンドローム(MetS)発症の基礎要因であるインスリン抵抗性に加えて,精神心理的要因の関与も検討した.初年度に引き続き、今回はより年齢の高い対象者で,MetSリスク評価を行った. 【対象と方法】製造業男性社員のうち,糖尿病,高血圧,脂質異常症,心脳血管疾患,高尿酸血症,肝疾患のいずれかで治療中の者を除く41-50歳1,691人を対象とした.法定の健診項目以外に血清インスリンと高感度CRPを測定し,さらに問診票でメンタル状況をGeneral Health Questionaire 12項目版(GHQ12)で確認した.GHQ12の得点は各項目0~3点を配分した. 【結果およびまとめ】MetS出現割合は17.1%(290/1,355)であった.GHQ12得点は,MetS群16.2±6.1,非MetS群15.5±6.2で,平均値に有意差を認めなかった.一方,血清インスリン幾何平均(幾何標準偏差)は,MetS群10.5(1.6)mIU/L,非MetS群6.0(1.7)mIU/Lで,前者が有意に高値であり(p<0.001),血清CRP幾何平均(幾何標準偏差)は,MetS群0.70(2.5)mg/L,非MetS群0.38(2.8)mg/Lで,前者が有意に高値であった(p<0.001).さらに,年齢,インスリン15mIU/L以上,CRP1mg/L以上,GHQ12得点,「現在喫煙しない」,「毎日飲酒はしない」,「定期運動あり」,「睡眠時間6時間未満」を説明変数とするロジスティック回帰分析を行った結果,MetSと統計的に有意な変数のオッズ比(95%信頼区間)は,年齢1.07(1.02-1.12),インスリン4.6(3.1-6.8),CRP2.0(1.5-2.7)で,睡眠時間とGHQ12は関連性を認めなかった.なお、定期運動は0.75(0.57-1.00)で,有意確率は0.051であった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対象研究フィールド(職域)担当課の協力も得られ.メタボリックシンドローム(MetS)発症に関与する要因分析を「心理的安寧」を含めて解析できた.全対象者を含めた解析は次年度以降であるが,今年度は41-50歳を対象にした解析を行った。その結果,「睡眠時間」やGHQ12で評価した「心理的安寧」はMetSのリスク要因とはならなかった.一方,「定期的運動習慣」はMetSと関連する傾向(p=0.051)を認めた.今年度も断面調査であり,因果関係の確定は今後の課題である. 生理学的指標である指尖容積脈波PTG(Finger Photoplethysmogram)と加速度脈波SDPTG(Second Derivative Finger Photoplethysmogram)を活用したMetSとの関連性に関する生物学的アプローチについては,対象職場での調査研究実施の見込みが立たないため,調査同意の得られた人間ドック機関でのデータ収集を開始できた.Cardio-ankle pulse wave velocity (PWV) と 血圧から導かれるCardio-ankle vascular index (CAVI)(フクダ電子バセラVS-1500AE)を動脈スティッフネスの指標として,50名程度のデータを収集できたので,次年度も継続しMetSとの関連を解析予定である. 以上のデータをまとめて,学術論文を準備している状況である.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度も過去2か年の調査形式を踏襲し,51-60歳代を対象とした断面調査を計画している.MetSとの関連性について,血液検査に加えて,GHQ12調査票による「心理的安寧」の測定項目や生活習慣を加えた解析であるが,これまでの研究を踏まえて,生物マーカーとして,血漿フィブリノーゲン測定を血清CRP測定と同時に企画している. 加えて,すでに収集したデータをベースラインにした,短期縦断調査を企画し,MetS発症予測因子の探索を行いたいと考えている. なお,生理機器(VS-1500AE)を用いたCardio-ankle vascular index (CAVI)測定を人間ドック機関で継続予定である.平成25年度とあわせて,100名以上を対象にした解析にしたいと考えている.
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