2014 Fiscal Year Annual Research Report
メチルアルギニン誘導体とメタボリック症候群発症リスクに関する職域疫学研究
Project/Area Number |
24590765
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
大塚 俊昭 日本医科大学, 医学部, 准教授 (80339374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川田 智之 日本医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00224791)
西山 康裕 日本医科大学, 医学部, 助教 (20350077)
稲垣 弘文 日本医科大学, 医学部, 講師 (50213111)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 非対称性ジメチルアルギニン / メタボリック症候群 / C反応性蛋白 / 疫学研究 / 高コレステロール血症 / 高血圧 / プラバスタチン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は本研究計画最終年度として、本研究1年目に測定した血清中非対称性ジメチルアルギニン(ADMA)濃度とメタボリック症候群(MetS)発症リスクとの関係性について、健診縦断データを用いて検討した。 某企業に所属し、2005年健康診断の時点でMetSを認めない848人(平均年齢43才)を対象に、向こう4年間の健康診断データを追跡しMetSの新規発症を調査した。2005年健康診断時に採取した保存血清を用い測定を行ったADMA濃度と、MetS新規発症との関連性を分析した。その結果、単変量モデルでは、ADMA高値群においてMetS発症リスクの上昇を認めたが(ハザード比1.58、95%信頼区間1.06-2.36)、C反応性蛋白(CRP)を初め他の共変量を含めた多変量モデルにおいては、ADMAとMetS発症リスクとの有意な関連性は認められなかった。逆にCRP高値は、多変量モデルにおいてADMAや他の交絡因子とは独立した有意なMetS発症予測因子となった(ハザード比1.75、95%信頼区間1.12-2.74)。以上から、ADMAはCRPを上回るMetS発症予測マーカーとはなり得ないという結論を得た。本研究成果は、 IJC Metabolic & Endocrine誌(2014; 5: 42-47)にて報告した。 我々がこれまで行ってきた関連する研究から、血中コレステロール低下薬であるHMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)はADMAを低下させることを明らかにした。ADMAは血圧調節に悪影響を及ぼすことから、スタチンの投与は血圧調節に好影響を与える可能性が考えられる。そこで我々は、次に、プラバスタチンによる心血管疾患一次予防効果を検証したMEGA Studyデータベースを利用し、プラバスタチンによる高血圧発症予防効果を検討した。その結果、プラバスタチン投与により高血圧発症リスクを約10%低下させる可能性が示唆された。
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