2013 Fiscal Year Research-status Report
ナノ材料による神経系発達障害の評価系の開発に関する研究
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24590774
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
石堂 正美 独立行政法人国立環境研究所, 環境リスク研究センター, 主任研究員 (60211728)
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Keywords | ナノ材料 |
Research Abstract |
私たちはこれまでに内分泌撹乱化学物質や農薬がラット新生仔に曝露すると、多動性障害が惹起されることを自発運動量を指標とした行動科学的に実証してきている。その原因としてカテコールアミン系神経の発達障害であること示した。一方、東京理科大の武田グループは、ディーゼル排気粒子に含まれているナノ粒子が、私たちの報告と同じようにマウスの自発運動量に影響を及ぼし、しかもモノアミン系の代謝産物量が変化するという報告を行っている[文献Particle and Fibre Toxicology(2010)7:7]。 そこで、本研究ではこれまで確立してきた自発運動量を指標とした行動試験を次のように行った。 銀ナノ粒子(10nm~100nm)を生後5日の雄性Wistarラットに経口投与した。ヒトの学童期に対応する4~5週齢より自発運動量(Supermexシステム・室町機械株式会社)を測定を始める。自発運動量測定器は、遠赤外線を利用した温度センサーが付着しており、これでラットを認識し、ラットの移所行動、身づくろい、立ち上がりを測定した。明暗は、午後19時から翌午前7時までを暗期とし、それ以外は明期に調節した。 測定の結果、ヒトの学童期に相当するラット4~5週齢までは変化が見られなかった。これは内分泌かく乱化学物質が自発運動量を更新することとは一致しなかった。そこで、大人多動性障害のモデルになるかどうかを引き続き計測を続けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調と判断されるのでこのまま継続する。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の結果より、銀ナノ粒子のラット新生仔曝露は成人ADHDを惹起する可能性が出てきた。引き続き銀ナノ粒子による生体影響の行動科学的検討を加える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究は、銀ナノ粒子の神経系への影響をIn vitro とIn vivoの2つの側面からアプローチをしてきている。これら2つのアプローチは、これまで確立してきた神経系発生・発達の毒性試験法に基づいており、今回銀ナノ粒子に応用したものである。しかしながら、これまでの内分泌攪乱化学物質や農薬と異なり銀ナノ粒子の物性の相違からくると考えられる困難さが随所にみられ、研究計画より若干の遅延が生じ、次年度使用額が生じてきている。 これまで通りのアプローチを継続するが、新たに研究補助員を雇用することにより研究計画を成就する予定である。
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