2016 Fiscal Year Research-status Report
社会経済的要因による健康格差に関する国際比較‐職域ストレスと生活習慣からの検討‐
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24590787
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
関根 道和 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (30303225)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 日本 / 英国 / フィンランド / 社会経済的要因 / 健康格差 / 心理社会的ストレス / ワークライフバランス / 生活習慣 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本、英国、フィンランドの公務員を対象とした社会経済的要因と心理社会的ストレス、生活習慣、健康との関係について、現時点での類似点と相違点を整理すると、①健康行動(喫煙、飲酒、運動、食事)や肥満について、日本では職階による格差が横断的に認められなく、また、縦断的にみても拡大傾向はなかった。しかし、英国およびフィンランドでは、職階による格差が横断的に認められ、さらに縦断的に拡大する傾向にあった。②心理社会的ストレスや精神的身体的健康度については、日本、英国、フィンランドにおいて程度の差こそあれ職階による格差が横断的に認められた。しかし、縦断的には、英国とフィンランドにおいて健康格差は拡大したが、日本では明らかではなかった。③社会的ネットワークに関しては、親戚や友人関係と精神的健康度の関係について、国や性により関連性の強さに違いがあるものの、親戚や友人との接触の程度が多いと精神的な健康度が高かった。 研究成果は、International Association for Cross-Cultural Psychology(IACCP) のシンポジウムで報告された(平成28年7月31日)。また、睡眠疫学に基づくメンタルヘルス対策の視点から、富山県医師会にて研究成果に基づく講演を行った(平成28年12月4日)。また、職場のストレスチェック制度を活用した健康経営の視点から、サウスケンジントン会(インペリアル・カレッジ・ロンドン日本同窓会)にて研究成果に基づく講演を行った(平成28年11月26日)。また、2017年8月に開催されるWorld Congress of Epidemiology(WCE)において、日本、英国、フィンランドの3か国の研究者による研究成果にもとづくシンポジウムや国際共同研究者会議が予定されており、準備を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
社会経済的要因による健康格差に関する国際比較に関して、心理社会的ストレスや生活習慣の観点から横断的、縦断的な研究論文をすでに多数公表しており、また、国際学会のシンポジウム等などで研究成果に関する情報発信を行っている。そのため、おおむね研究計画通りに進められていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年年8月に開催されるWorld Congress of Epidemiology(WCE)において、日本、英国、フィンランドの3か国の研究者による研究成果にもとづくシンポジウムを担当している。また、会期中に国際共同研究者会議が予定されており、今度の研究に推進方策等について協議を行う。
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Causes of Carryover |
国際学会及び国内学会における発表および情報収集に係る旅費および論文公表に係る出版費用等に使用する予定であったが想定より少なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際学会及び国内学会における発表および情報収集に係る旅費および論文公表に係る出版費用等に使用する予定である。
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