2014 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者慢性疾患のケアに対する汎用性の高いシステムを用いた遠隔診療の臨床的有効性
Project/Area Number |
24590815
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
本間 聡起 杏林大学, 医学部, 准教授 (30190276)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 遠隔医療 / 遠隔診察 / テレビ電話診療 / テレモニタリング / 遠隔聴診 / 高齢者診療 / 慢性疾患管理 / 診断精度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、全て市販の機器とサービスで構成された遠隔診察システムを用いて、福島県の39名の高齢患者と東京に居る医師を結んだ遠隔診療実験を実施した。テレモニタリングにおける日常の体重、血圧等の自己測定が困難との理由で脱落した2名と中途転居1名を除いた36名に対して、毎月の遠隔診察受診を含む1年間の実験を行った。 その結果、1)システムは順調に稼働し、重大なシステムトラブルによる遠隔診療スケジュールの変更はなかったが、マイナーな技術的トラブルの発生はあり、実用化には技術的なバックアップ体制の確立が必要と思われた、2)アンケートでは、実験参加患者のアドヒアランスはテレビ電話によるコミュニケーションを含めて良好であり、一部の患者のかかりつけ医での診療録内容との比較で、遠隔診療においても同等に患者の訴えが把握できたと判断された、3)同一医師による対面診察と遠隔診察時の所見の比較から、遠隔からの視診でも同様の所見が観察可能と判断されたが、精度の向上や操作性に改善すべき点があった、4)期間中に急性疾患発症や慢性疾患の急性増悪をみた5例のテレモニタリングデータにおいて、バイタル測定値や歩数の変化により発症前から前兆を捉えていた、5)遠隔聴診では、特に急性及び慢性の呼吸器疾患において、対面診療録から得られた臨床経過と合致する所見が遠隔から得られていた、6)医師側の記録については、映像も含めた診察の全情報が送信時にデジタル化され、この客観的データを直接、記録できる遠隔医療のメリットを活用し得たが、記録の操作が煩雑で医師側のユーザーインターフェースを改善する必要がある、7)遠隔診察対象患者13名と同一居住環境の非実験参加者の対照16名を、かかりつけ医療機関の診療記録によって比較すると、被験者群で外来定期受診回数が少ない傾向がみられた。 今後も収集された多岐にわたるデータの解析を継続し、問題点についての解決策を検討する。
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