2012 Fiscal Year Research-status Report
介護保険サービス利用者の療養場所移動の実態とケアの質確保に関する研究
Project/Area Number |
24590834
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
Principal Investigator |
石崎 達郎 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究部長 (30246045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 龍太郎 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 副所長 (20150881)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 高齢者医療 / 地域包括ケア / 介護保険 |
Research Abstract |
1.介護保険・医療保険のレセプトデータを用いた介護保険サービス利用者の療養場所移動パターンの把握 (1)レセプトデータ解析プログラムの開発:共同研究事業を行っている自治体から提供された介護保険・医療保険レセプトデータを用い、療養場所(自宅、居住型施設、医療機関、介護保険施設)を同定する解析プログラムを作成した。次に、介護保険サービス利用開始から最長1年間における療養場所の変化を把握する解析プログラムを開発した。医療保険レセプトデータから30日以内の入院(再入院と定義)を同定するプログラムは、後期高齢者医療データのみで作成が可能であった。 (2)療養場所移動パターンの把握と再入院の発生率・関連要因に関する分析:①で開発した解析プログラムを用いて、介護保険サービス利用者を対象に、一人ひとりの医療(外来・入院)・介護(居宅・施設)サービスの利用状況を調べ、一年間または四半期における療養場所の移動パターンを把握し、性別・年齢階級別に療養場所の移動パターンを比較した。 2.療養場所移動前後のケアの質維持・向上に関する記述研究 再入院の予防、施設移動時の要介護高齢者に関する各種情報の内容と移動先への提供、要介護高齢者の急性疾患への対応方針等について文献を収集した。主にアメリカ国内で提供されているTransitional Careに関する広報用配付物やセミナー講演資料・会議録・セミナー動画資料等を収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
統合型データベースの開発は、概ね順調に進展した。医療保険レセプトデータ、介護保険レセプトデータを個人単位で突合し、療養場所を同定するプログラムを開発した。データ数の限界から、把握可能な期間は最も新しいデータ年月から遡って12か月間の把握となった。30日以内の再入院を同定するプログラム開発については、「入院年月」変数が利用可能な医療保険レセプトデータは「後期高齢者医療」のみだったため、その他の制度における医療保険レセプトデータでは、再入院を同定することができなかった。介護保険サービスの利用については、居宅サービス・入所サービスそれぞれについて詳細な利用状況と療養場所(居宅サービス、居宅系施設サービス、入所サービスを区別)について把握が可能となった。 Transitional Careとケアの質維持・向上に関する文献レビューは、最新の文献を数多く収集することができた。また、アメリカ連邦政府Department of Health and Human ServicesのThe Administration on Agingが主催したTransitional Careに関するWebセミナーの資料(平成23年1月から9月まで実施分)を収集できた。更には、Colorado Foundation for Medical Care(CFMC)が主催しているLearning Sessionから定期的に情報収集を行っている。その他、Transition Careに関連する著名なプログラムを把握し、情報収集を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、引き続き介護保険・医療保険のレセプトデータを用いた介護保険サービス利用者の療養場所移動パターンの把握と再入院の関連要因に関する分析を継続する。過去数年間の新しい医療保険・介護保険レセプトデータの収集とデータベースへの追加を計画している。これが実施できると、後期高齢者医療の医療費データに基づく再入院発生の把握については、分析可能な情報量になることが期待される。 Transitional Careとケアの質維持・向上に関する文献収集については、文献検索と文献収集を継続する。療養場所同定に関するデータがまとまり、文献収集・資料収集が蓄積した後に、アメリカでのヒアリングを計画している。具体的には、療養場所移動前後のケアの質維持・向上に関する実践的取り組み(情報提供の内容・方法、退所・入所時の対応、スタッフの役割)や医療制度の変遷に伴う療養施設の対応の変化等について情報を収集する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度当初、データベース開発・管理のためにハイスペックなパソコン購入を計画していたが、現有のパソコンで対応可能であったため、新たなパソコンの購入を見送った。平成25年度に新しいデータが追加される予定があるため、大容量ハードディスクを備えたパソコンの購入を備品費として検討している。旅費は、研究成果発表等のための国内学会出張旅費の他、アメリカにおけるtransitional careの取り組みに関する情報収集・研修参加のための海外出張旅費を計上する。新規追加データをデータベースに追加するために、データベース構築のためのシステム開発委託を委託費として計画している。その他、英文論文の校正費用、国内のレセプトデータ分析の専門家からの情報提供のための謝金、医療政策科学・統計学・プログラミング技術に関する図書費を計上する。
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