2013 Fiscal Year Research-status Report
都市部住民におけるLDL酸化予防のための生活習慣の解明
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24590844
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Research Institution | Foundation for Biomedical Research and Innovation |
Principal Investigator |
久保田 芳美 公益財団法人先端医療振興財団, その他部局等, 研究員 (60403317)
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Keywords | 疫学調査 / 都市部住民 / 動脈硬化予防 / LDL酸化 |
Research Abstract |
神戸市一般住民を対象とした都市部住民コホート「神戸トライアル」では、平成22,23年度にベースライン調査を実施し、40~74歳のガン、循環器疾患の既往がなく高血圧・糖尿病・脂質異常症の治療中でない1,134人がコホートに参加した。平成24年度以降は追跡調査の期間となり、コホート参加者にとって1回目の追跡調査を平成24年度~26年5月の期間に実施中である。平成25年度は、平成24年度に引き続き、コホート参加者の約半数を対象として追跡調査の一環である来所検査を実施し、食事、サプリメント類摂取、喫煙状況をはじめとする生活習慣情報、QOL指標、動脈硬化性疾患の発症情報等および血液検体を収集した。平成26年2月時点の来所検査の受診率は90 %(1,015人)であった。並行して、2回目の追跡に向け、検査項目の検討や、ニュースレターによる案内を行った。さらに、ベースライン調査で収集した血中ビタミンEとLOX-1系変性LDL指標との関連について学会報告を行った。α-トコフェロール/non-HDLコレステロール(mmol/mol)は、LAB(標準化係数=-0.186)およびLOX-index(標準化係数=-0.150)と有意な負の関連を示した。sLOX-1とは有意な関連はみとめなかった。対象者をLDLコレステロール低値群(130 mg/dL未満)と高値群(130 mg/dL以上)に分類すると、LDL低値群では、血清ビタミンEはLAB(標準化係数=-0.204)およびLOX-index(標準化係数=-0.171)との間に有意な関連がみとめられたが、LDL高値群では有意な関連はみとめられなかった。ビタミンE摂取は、LOX-1系変性LDLの血管内皮機能障害の抑制に、LDL-コレステロールが低値の集団でより強く関連することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コホート研究「神戸トライアル」の参加者は一般市民のボランティア集団である。追跡調査では、コホート参加者の神戸トライアルへの関心が、来所検査への参加率や郵送調査の回答率つまり追跡率を左右することになる。研究代表者と連携研究者らの諸活動により、来所検査への参加率は平成26年2月時点で90%と、高い追跡率を維持し、追跡調査のデータおよび血液検体の収集、データベース作成は順調に進展している。コホート維持のための資金を優先する必要があり、検体分析については、計画を縮小せざるを得なかった。しかしながら、コホート維持に関しては、既に2回目の追跡検査に90%の申し込みがある状態であることや、神戸トライアル関連の学術論文を筆頭、共著含めて4本投稿中であることなどから、総合的に見れば、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き追跡調査を継続する。本年度、血中ビタミンEとLOX-1系変性LDL指標との関連について分析し、LDL-コレステロールの低い者においてより強く関連するという知見が得られた。ベースライン時の血中ビタミンEおよびLOX-1系変性LDL指標であるLAB、LOX-indexのレベルにより、1回目の追跡の時点での動脈硬化指標を比較する。本研究では、食事指標となる血中脂肪酸、詳細な生活習慣問診をベースラインおよび追跡調査で取得しており、脂質異常症などの健康障害が起きていない健常者における生活習慣改善の推進にもつながると考えられる。既に学会報告した研究成果については、論文作成を進め、コホート参加者向けのニュースレターや一般市民向け情報として先端医療振興財団や神戸市HPなどでの発信を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、残額の1,493,540円および次年度交付額の400,000円の合計1,893,540円である。1回目の追跡のデータは、平成26年5月検査実施分で完成する。入力前のデータクリーニングに時間がかかったため、平成25年度後半の検査時聴取分も、次年度に入力がずれこんだ。 平成25年度の後半および平成26年5月に聴取した問診データの入力の外注費に用いる。1回目の追跡データ込のデータベースを作成し、解析が可能な状態にする。2回目の追跡のデータ入力も順次進める。さらに、2回目の追跡の維持のための諸経費すなわち検査結果の中で医学的意義の明らかな項目の返却、研究の経過や成果を報告するためのニュースレターなどの印刷、発送に用いる。
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Research Products
(3 results)