2012 Fiscal Year Research-status Report
一酸化炭素の体内動態に与える組織ヘムタンパクの役割
Project/Area Number |
24590856
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
木下 博之 香川大学, 医学部, 教授 (00284357)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飴野 清 香川大学, 医学部, 准教授 (50019626)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 一酸化炭素 / 中毒 / 体内動態 / 毒性 / ヘモグロビン / ミオグロビン / 死後拡散 |
Research Abstract |
一酸化炭素(CO)は、我が国の中毒死の原因として最も多く、法医学領域では中毒死事例や火災の事例などでCOの関与した事例を取り扱う頻度が高い。COの死因への関与の度合いは、現在、オキシメータを用いて血液のCO 飽和度を基に、主に血液のヘモグロビン飽和度から判断しているが、詳細な死因の判断を行う上で、COの体内動態についての詳細かつ十分な知見が必要であり、今回の検討を行った。今回新たに測定に用いている電気化学式一酸化炭素センサーは、ガスクロマトグラフィーの技術を応用した装置で、COに特異性が高くかつ高感度であり、比較的低濃度の試料においても良好な結果が得られ、動物実験のみならず法医学実務への応用の可能性も示唆された。 現在は実験動物によるCOの体内動態の評価を行っているが、一連の実験では血液試料のCO飽和度の評価は、従来から用いられてきたオキシメータや分光光度計による吸光度測定を併用した。現在検討している筋組織のミオグロビンに結合したCO飽和度の測定では、これまでの検討から、同様の分光法による方法は困難であることが明らかになった。そこで、蛋白から遊離させたCOを測定することでミオグロビンと結合したCOを評価する方法に方針を変え、現在はその測定条件の検討にあたっている。なお、実験の過程で併用しているオキシメータによる測定は、再現性の高い結果が得られており、実務面での有用性がより一層明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ミオグロビンに結合したCO飽和度の測定が困難である可能性については、当初の計画の際にも想定されていた事項である。測定が困難であった場合の計画に沿って、実験条件の修正を行っていく。計画の上では極端に大きな遅延はないが、機器の高感度化に伴う安定性の問題など、計画段階では想定していなかったような問題点も実験を行っている上でいくつか明らかになった事項があり、問題解決のためそれぞれについて対策を講じている。
|
Strategy for Future Research Activity |
ミオグロビンに結合したCO飽和度の測定については、遊離させたCOの測定条件の設定を早急に行い、全体の実験計画に影響しないよう対応していく。機器の安定性の問題については、分離カラムの変更などの方策により、改善は可能と考える。 今年度については、CO吸入後の体内動態の検討とともに、死亡後に体内分布の変化とそれに伴う試料の濃度変化、いわゆる死後拡散についても検討する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度については、ミオグロビンに結合したCO飽和度の測定が困難で、測定法の変更とその検討に時間を要し、当初の予定に比べ、動物実験にやや遅延が生じたため、次年度に使用する予定の研究費が生じた。 次年度については、早急な測定条件の設定と追加の動物実験を行うことで、実験計画として予定している事項、つまり体内動態の検討とともに、死亡後に体内分布の変化とそれに伴う試料の濃度変化についても検討する。
|
Research Products
(1 results)