2013 Fiscal Year Research-status Report
飲酒の肝臓内タンパク酵素に及ぼす影響と小胞体ストレス応答機構
Project/Area Number |
24590860
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
西谷 陽子 熊本大学, 生命科学研究部, 教授 (30359997)
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Keywords | アルコール / 小胞体ストレス / 肝細胞 / クレアチン |
Research Abstract |
この研究は、アルコール等の濫用薬物による臓器障害メカニズムを明らかにするため、腎臓および肝臓のタンパク酵素を介して生合成されるクレアチンに着目して、アルコールによる合成障害について検討を行う。クレアチンは肝臓への脂肪蓄積に影響を及ぼすという最近の知見もあり、メタボリックシンドロームなどで見られる細胞内への脂質の蓄積が及ぼす影響を検討することを目的とする。肝細胞におけるクレアチン産生とエタノールの影響を詳細に検討するため、ラットより初代肝細胞培養を使って実験を行った。初年度では培地を中心にさまざまなエタノール濃度負荷による変化を検討したが、平成25年度ではそれに加えて、クレアチン産生にかかわるアミノ酸負荷、エタノールおよびアセトアルデヒドの代謝阻害薬、抗酸化薬の負荷を行い、その影響を検討した。前年度より検討しているクレアチン、クレアチニン、およびその生成過程で生まれるGAA(グアニジノ酢酸)について、既存の簡易検査およびキット、あるいは、すでに保有しているLC-MS/MSで安定した定量方法の確立についての検討を引き続き実施し、キットの条件の再設定、LC-MS/MSでの検量線の有効性について検討を行った。また、培地だけではなくタンパク発現を見るための細胞質画分の分画や、mRNAの抽出など、初代培養肝細胞からのさまざまな試料を採取することに重点を置いて実験を実施した。その次のステップとなるウェスタンブロッティングやRT-PCRは、新規に実施するためさまざまな試薬や機材などの環境整備を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
肝細胞におけるクレアチン産生とエタノールの影響を詳細に検討するため、初代肝細胞培養を実施したが、安定した定量方法を確立するために検討を行い、測定条件を再検討する必要があり時間を要した。一方で、測定方法が確立するまでは初代培養肝細胞からのさまざまな試料を採取することに重点を置いて実験を実施し、特にあらたな阻害薬などを負荷した群を作り、培地、タンパク、mRNA、細胞破砕液の採取を行った。前職より異動後、ウェスタンブロッティングやRT-PCRをあらためて新規に実施する必要があり、試薬や環境整備の確保のため、その準備に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
エタノール負荷による肝細胞培養培地内のクレアチン産生状況について、クレアチン、クレアチニン、GAAの測定を行い、各種阻害薬下での変化を確認する。また、クレアチン産生にかかわるタンパクや関連するシグナル伝達系について、その発現の程度や活性化の程度を検討を行う。それらのタンパクや酵素と小胞体ストレス応答あるいは肝細胞への脂肪蓄積との関連を明確にするため、脂肪酸負荷群をあらたに設定する。初代細胞培養を実施するための実験動物、免疫染色やウェスタンブロッティング解析、定量的real time RT-PCR法を用いるため、これらの手法に関する試薬・抗体・プライマー等に多くの経費を使用する。また、本研究の研究発表のため、国内出張(1回)論文校正および投稿(1編)を予定している。
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