2014 Fiscal Year Annual Research Report
飲酒の肝臓内タンパク酵素に及ぼす影響と小胞体ストレス応答機構
Project/Area Number |
24590860
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
西谷 陽子 熊本大学, 生命科学研究部, 教授 (30359997)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | エタノール / 肝臓 / 小胞体ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究は、アルコール等の濫用薬物による臓器障害メカニズムを明らかにするため、腎臓および肝臓のタンパク酵素を介して生合成されるクレアチンに着目して、アルコールによる合成障害について検討を行う。初年度では培地を中心にさまざまなエタノール濃度負荷による変化を検討したが、平成25年度ではそれに加えて、クレアチン産生にかかわるアミノ酸負荷、エタノールおよびアセトアルデヒドの代謝阻害薬、抗酸化薬の負荷を行い、その影響を検討した。平成26年度にはクレアチン産生を制御するタンパク群の一つでありNAD依存性脱アセチル化を行う長寿遺伝子の一つのSIRT1に着目し、その阻害剤による影響を検討した。さらに、細胞内に脂質を蓄積させるため、不飽和脂肪酸であるリノレイン酸を負荷し、脂質を蓄積した状態でのエタノールおよびその代謝の影響を確認した。エタノール代謝に関わるアルコール脱水素酵素(ADH)もSIRT1と同様に補酵素NADを必要とするが、SIRT1阻害で培地中のエタノール濃度が上昇する傾向を認めたが有意差は認めなかった。また、エタノールを負荷すると、脂質のβ酸化で発生するケトン体の一つであるアセトン濃度が培地内で減少しており、エタノール負荷が脂質代謝を抑制している可能性が示された。細胞内に蓄積される脂質は小胞体の近傍に位置することが多く、細胞内の脂質の蓄積は小胞体ストレス応答を引き起こす可能性があり、クレアチン産生に関わるタンパクの発現程度や小胞体ストレス応答の程度を確認するために、必要なmRNAやタンパクなどの試料を採取した。
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