2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24590866
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
原 修一 東京医科大学, 医学部, 准教授 (70208651)
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Keywords | 一酸化炭素中毒 / ヒドロキシルラジカル / Dual oxidase / siRNA / ラット / 線条体 |
Research Abstract |
SD系雄性ラットに1000 ppmあるいは3000 ppmの一酸化炭素(CO)を40分間曝露した直後に線条体を摘出し、dual oxidase 2 (DUOX2) mRNAの発現量をリアルタイムPCRにより測定した。この場合、housekeeping geneの中で曝露CO濃度および曝露後の経過時間による変動が小さいbeta-2 microglobulin mRNA(前年度の結果)を標準として算出した。DUOX2 mRNA発現量は、CO濃度に依存して増加し、3000 ppmでは 0 ppmの約2倍まで増加した。DUOX1 mRNAの発現量についても測定したが、COによる影響はまったく認められなかった。これらの結果は、1000 ppm COよる弱いDUOX2 mRNA発現誘導を除き、マイクロアレイ分析の結果と一致していた。一方、3000 ppm CO曝露による線条体のヒドロキシルラジカル (・OH)生成は、DUOX阻害作用を有するDPI (diphenylene iodonium chloride)およびAEBSF (4-(2-Aminoethyl) benzenesulfonyl fluoride hydrochloride)で抑制された。また、DUOX2に対するsiRNAを線条体に投与すると、3000 ppm COによるDUOX2 mRNA発現誘導が抑制されるとともに、・OH生成も抑制された。この場合、DUOX2タンパク量の測定を市販のELISA kitを用いて試みたが、明確な結果を得ることが出来なかった。DPIは、cAMP生成を促進するfolskolinの線条体内投与による・OH生成も抑制した。以上の結果およびこれまでの報告から、CO中毒ではcAMP経路を介するDUOXにより・OH生成が促進されることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の実験計画通りDUOX2についての実験を行い、上述のような結果を得たことから、おおむね順調に進展していると判断している。ただし、alkaline phosphatase 1(intestinal, defined by SSR)およびcommon salivary protein 1 (CSP1)の RT-PCRについては種々の事情により未実施である。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度ELISA法で試みたDUOX2タンパク量の測定をWestern Blot法を用いて行う。この結果を平成24~25年度の研究結果に加えて論文を作成する予定である。もし、追加の実験が必要であれば実施する。一方、マイクロアレイ分析において、mRNAが1000 ppm CO中毒(中程度CO中毒)および低酸素性低酸素では発現が誘導されず、3000 ppm CO中毒(重度CO中毒)で誘導されるalkaline phosphatase 1について、血液中alkaline phosphatase活性(isozymeを含む総活性)が、この変動と連動しているか否かを明らかにする。この場合、曝露終了後の経時的な変動についても検討する。また、マイクロアレイ分析において、アディポネクチンmRNA発現が、曝露CO濃度に依存して強く抑制され、また、3000 ppm COでより長時間抑制されることが認められたことから、CO曝露後の血液中アディポネクチン量を経時的に測定する。なお、低酸素性低酸素によってもアディポネクチンmRNA発現は抑制されるが、その抑制はCO曝露よりも短時間である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
小額であることから物品購入には十分ではなく、繰り越して使用した方が有効であると考えられるため。 物品費として使用する予定である。
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