2012 Fiscal Year Research-status Report
直接PCR法による法医学的な検査に用いた試料からの個人識別の研究
Project/Area Number |
24590867
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
鉄 堅 日本大学, 医学部, 講師 (40277439)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ヒト血痕 / 人血確認実験 / 実験後残存糸 / 直接PCR |
Research Abstract |
法医学では生物試料から個人識別を行う際に常にヒトのものか否かについて鑑定を行う必要がある。特に微量の血痕や唾液などの法科学試料の場合に人血やヒト唾液などの確認実験後に使用された試料の残りからDNA抽出を行わず、直接PCR増幅でDNA多型を検出できることを本研究の目的としている。 本年度は血痕および唾液斑などの研究試料を用意し、これらの試料よりDNAを抽出してABI社のAmpFlSTR Identifiler PCR Amplification kitを用い、STR多型の確認を行った。その後、陳旧試料を検査する際にこれらのスタンダートパターンを参考して研究の精度と基準を作成した。新鮮の血痕や唾液斑の試料の棉糸1本を用い、直接PCR法よりSTR多型の増幅条件を確認した上、型が検出された。血痕検査の予備試験とヒト血液鑑別試験をそれぞれ行い、使用した試料の残り1本の糸をそのままPCR増幅し、再度STR多型を検出し、型判定ができた。また、室温で30年が保存された陳旧試料や試薬反応で使用した試料の残りから、直接PCR増幅ではSTR多型が検出できなかった試料について“組織の直接PCR法に有効なdigest buffer”及び市販のViagen DirectPCR DNAExtraction Systemを用いて処理してから、血痕糸をPCR増幅チューブに入れ、STR多型の増幅を実施したところ、各STRローカスよりSTR多型のピークが確認できた。 血痕や唾液以外にもヒト爪片からViagen DirectPCR DNAExtraction Systemを用いて処理すると、処理しない2つの方法で上述のSTR多型の増幅を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は研究開始の1年前からすでに準備を始めて、研究計画が済んでいて使用設備なども用意できてその上、予備実験も行ったことから初年度に入って順調に実験をスタートできた。 更に本研究のポイントとなる微量DNAについて当初血痕や唾液斑などの試料からのDNA濃度の測定は分光光度計で行う予定であったが、この方法では陳旧の試料の場合にはバクテリアなどヒト以外のDNAも一緒に測定されたので本来のDNA濃度が高く評価されることがある。そうするとこれらのDNA濃度を参考して検査するとSTR多型は検出されないことが十分に可能性である。そこで、リアルタイムPCR法の使用により、もっと正確に微量のDNA濃度を把握できて後のSTR多型の検査に大いに役立った。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は主に血痕について直接PCR増幅によりSTR多型の検出を検討した。次年度から血痕及び血痕以外の法科学試料について検討する予定である。 法科学試料は長く室温で放置していくと、バクテリアの増殖やDNAの断片化などによりPCR増幅に増幅酵素を阻害するものが増えてSTR多型の検出に困難になることが予測される。そのためにPCR増幅に阻害するものを除去したり、PCR増幅にPCR阻害物質に強いDNA増幅酵素を選択しなければならない。また、STR多型の検出感度の高い検査試薬の選択も重要なポイントとなる。よりPCR増幅の効率のよい増幅酵素の選択やそれと同時にPCR増幅の阻害物質の除去なども工夫する必要があると考えている。現在使用しているABI社のAmpFlSTR Identifiler PCR Amplification kitのほか、QIAGEN社のInvestigator ESS Plus kitも使用して直接PCR増幅について検討を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度から血痕のほかに、唾液やヒト爪も重点的に検討する予定であり、主にSTR多型を検出するためにABI社のAmpFlSTR Identifiler PCR Amplification kitのほか、QIAGEN社のInvestigator ESS Plus kitを用いるとことである。この2種類のキットは約90万円になり、残りの経費はキャピラリー電気泳動なの消耗品に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)