2012 Fiscal Year Research-status Report
ナノマテリアル・ナノ粒子のアクシデンタルな曝露による生体影響
Project/Area Number |
24590868
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
菅野 さな枝 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (50391090)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アスベスト / ナノマテリアル / 暴露 / 生体影響 |
Research Abstract |
今年度の目的は、in vitro系でナノマテリアルやナノ粒子の肺の細胞への取り込み機構を明らかにすることである。本研究では、繊維状ナノマテリアルとして、アスベスト及び形状がアスベストと似ており工業用に広い範囲で使用され始めているカーボンナノチューブ(CNT)を用いた。細胞は、Human monocytes (THP-1) をマクロファージ様細胞に分化させ用いた。 最初に、取り込み機構の解明を目的として、繊維状ナノマテリアルの細胞への取り込みにGTPase effectorであるRho-kinases (ROCK1, 2)が関与するか、阻害剤を用いた実験により調べた。その結果、THP-1に接着又は取り込まれたアスベスト及びCNTの量は、ROCKs阻害剤であるY27632によっては変化しなかった。このことより、ROCKsは細胞への取り込みには関与していないことが示唆された。 次に繊維状ナノマテリアルの細胞への影響を調べた。最近の報告で、これらの繊維状ナノマテリアルが、肺の疾患に関連する炎症誘発の機構として、Nalp3インフラマソームが関与することが明らかとなった。繊維状ナノマテリアルの引き起こすNalp3インフラマソームの機構をさらに詳細に明らかにするため実験を行った。THP-1へのこれらの暴露によるIL-1産生に、ROCKsが関与するか否かを、阻害剤及びKnockdown実験により調べた。また、ROCKsの阻害実験及びKnockdown実験により繊維状ナノマテリアル暴露によるIL-1産生が有意に抑制されたことより、ROCKsが繊維状ナノマテリアルによるIL-1産生機構に関与していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナノマテリアルの肺の細胞への取り込み機構の一部を調べた。また、生体影響の一つとして、ナノマテリアル等の暴露により肺の疾患に結び付くことが知られているインフラマソームという機構に、GTP effectorであるROCKsが関与することを明らかとした。アクシデンタルな暴露による生体影響の一部を明らかにすることができた。また、研究課題達成のため条件検討の実験を行い、その一部を利用し明らかにした研究成果を論文にて発表した。これらの研究成果を国際学会にて報告できた。これらの理由から、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
ナノマテリアルの吸入暴露が原因となり引き起こされる肺の疾患に関与するインフラマソームの機構を明らかにするため、平成24年度は実験の条件検討も含めて検討を行った。今まで検討してきた条件を基に、さらにインフラマソームを含めた生体影響を明らかにするために研究を進める。繊維状ナノマテリアルの取り込み機構を明らかにするために、どのように繊維状ナノマテリアルを認識し、インフラマソームの経路を活性化させるのか検討する。また、繊維状ナノマテリアルの暴露による活性酸素の産生や細胞の障害などを調べ、疾患への関与を検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現在までに進めてきた繊維状ナノマテリアルによるインフラマソームに関与する機構をさらに詳細明らかにするために、たんぱく質の発現量などを調べる。そのため、様々な阻害剤やknockdown法を用いて実験を行う。ELISAなどの分析キットや、抗体や遺伝子導入にかかわる試薬などが必須である。活性酸素や細胞の障害を調べるための試薬、及び日常的に培養を行うため試薬も必要である。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Sulfide induces apoptosis and Rho kinase-dependent cell blebbing in Jurkat cells2013
Author(s)
Sanae Kannoa, Seishiro Hiranob, Morihisa Sagia, Shoetsu Chibaa, Hiroshi Takeshitaa, Toru Ikawaa, Kazue Ichibaa, Tomonori Nagaia, Meri Takadaa, Kana Sakamotoa, Toshiji Mukaia
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Journal Title
Archives of Toxicology
Volume: in press
Pages: in press
DOI
Peer Reviewed
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