2012 Fiscal Year Research-status Report
二酸化炭素中毒での中枢性の呼吸障害に関する基礎的研究
Project/Area Number |
24590874
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
田中 敏子 産業医科大学, 医学部, 講師 (80141745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 寛晃 産業医科大学, 医学部, 准教授 (50441845)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 海馬CA1 / 好酸性化 / 壊死 / 幼弱 |
Research Abstract |
目的:二酸化炭素による中枢性の呼吸障害に対する加齢の影響を検討する。 方法: Wistar雄の幼弱ラット(生後7日から14日)と成熟ラット(体重400gから500g)を麻酔した後,容量約2リットルの暴露容器に入れ,空気動圧センサーを用いて呼吸運動を記録した。30 - 50%の高濃度二酸化炭素(CO2)(酸素21%,窒素バランス)混合ガスを吸入させ,呼吸停止までの生存時間を測定した。次に幼弱ラットと成熟ラットを40%CO2(酸素21%,窒素バランス)に3時暴露したCO2群と大気に暴露した対照群(CO2 0%,酸素21%,窒素バランス)に分け,脳切片をHE染色した。海馬CA1領域に分布する錐体細胞は虚血に脆弱であることから,CA1の好酸性化細胞および壊死細胞数の正常細胞数に対する出現率を算出した。統計上,群間の危険率5%未満を有意差あり,10%未満を有意差の傾向があるとした。 結果:幼弱ラットの生存時間はCO2 30%では成熟ラットより有意に長かった。CO2 40%および50%での生存時間の有意差は認められなかった。次に海馬CA1の錐体細胞をみると,対照群の好酸性化率と壊死率は成熟ラットのほうが幼弱ラットよりも有意に高かった。また成熟ラットではCO2群の錐体細胞の好酸性化は対照群と差はなかったが,壊死率は高い傾向を示した。一方,幼弱ラットではCO2群の好酸性化率は対照群よりも有意に高く,壊死率は対照群よりも高い傾向を示した。すなはち,海馬CA1の錐体細胞は,高濃度CO2によって好酸性化が幼弱ラットでより出現し,壊死細胞の出現傾向は成熟ラットと幼弱ラットに認められた。 結論:成熟ラットと幼弱ラットでは高濃度CO2暴露下での生存時間や海馬CA1の好酸性化率といった中枢での呼吸障害の病態像に差異が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究の目的は,二酸化炭素による中枢性の呼吸障害が加齢によって影響を受けるかどうかを検討することであった。上記の研究実績の概要に示したとおり,目的は達成できたものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
病態像が確立した各群の脳を採取し,各部位を前処理したのち,DNAマイクロアレイ装置(学内共同利用施設現有)を用いて5-HTおよびNAなどの脳内伝達物質の発現を調べる。 さらにマイクロアレイの結果を参考にして,Real time PCR装置(学内共同利用施設現有)を用いて発現物質を同定する。さらに,発現物質をELIZA法などでキットを用いて定量する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
脳試料を前処理したのちアレイ(20スライド×@93,780)を含む試薬を用いたマイクロアレイ法および Real time PCR法によってmRNAを分析し,発現タンパクを定量する。それに伴って動物や明細に示した試薬やキットならびに共同施設利用料金があらたに必要となる。
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