2014 Fiscal Year Annual Research Report
二酸化炭素中毒での中枢性の呼吸障害に関する基礎的研究
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24590874
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
田中 敏子 産業医科大学, 医学部, 講師 (80141745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 寛晃 産業医科大学, 医学部, 教授 (50441845)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 二酸化炭素 / 延髄 / 遺伝子発現 / MAPKシグナルパスウェイ / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
目的:二酸化炭素による呼吸抑制の機序を調べるために,前年度は高濃度二酸化炭素吸入下での延髄腹側中央部のmRNAの発現をマイクロアレイで網羅的に調べ,変動が顕著なバイオマーカーを得た。本年度はこれらについてReal time PCRで定量を行い,変動の有意差の有無を確認した。
方法:マウスに高濃度二酸化炭素(二酸化炭素30%,酸素21%,窒素バランス)混合ガスを0時間,3時間および8時間吸入させてCO2群とした。同様に低酸素(酸素14.7%(21%×0.7),窒素バランス)を0時間,3時間および8時間吸入させた群をHypoxia群とした。ガス吸入終了後,すみやかに第4脳室下延髄中央部を分割・採取しmRNAを抽出した。ターゲット遺伝子として転写調節因子FOS,FosB,JUN,JunB,ATF3およびサイトカインおよび免疫関連遺伝子Ccl2,CD14,成長因子Cyr61,アポトーシス関連因子Nr4a1を用いた。変動の少なかったATP5bを内在性コントロールとし,TaqManプローブを用いてThreshold cycle(Ct値)を算出し,ATP5bのCtで除した値ΔCtを分散分析および多重比較法により検定した。なお発現量が増加すればΔCtは減少することから,ΔCtの減少は発現量の増加を表し,ΔCtの増加は発現量の減少を示す。
結果:Hypoxia群では有意なΔCtの変化は認められなかった。一方,CO2群では転写調節因子のうちATF3はCO2-3hr群およびCO2-8hr群で有意に減少し,FOS,FosB,JUN,JunBのΔCtはCO2-8hr群で有意に減少した。またCcl2,Cyr61,Nr4a1のΔCtは,CO2-3hr群およびCO2-8hr群で有意に減少し,CD14のΔCtはCO2-8hr群で有意に減少した。これらはいずれも同時間帯のHypoxia群よりも有意に低値であった。ΔCtの減少すなはち発現増加を示したこれらのターゲット遺伝子は,MAPKシグナルパスウェイやサイトカイン類のシグナルパスウェイなどとの関連も報告されており,高濃度二酸化炭素の吸入によって生じる呼吸抑制と関連する可能性が考えられた。
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Research Products
(1 results)