2013 Fiscal Year Research-status Report
過敏性腸症候群のストレス応答を規定する神経免疫学的基盤の解明
Project/Area Number |
24590875
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金澤 素 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70323003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鹿野 理子 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20344658)
福土 審 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80199249)
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Keywords | 過敏性腸症候群 / 消化管運動 / 内臓知覚 / コルチコトロピン放出ホルモン / ストレス |
Research Abstract |
未治療のIBS症例21例(女性11例、平均年齢23歳)ならびに健常者19例(女性9例、平均年齢21歳)を対象とした。最大容量600mLのバロスタットバッグが装着されたカテーテルを経肛門的に挿入し、直腸内に留置した。検査プロトコールは、バロスタット装置の制御下でバッグ内の最小伸展刺激圧を同定後、最小伸展刺激圧+2 mmHgを稼働刺激圧(intraoperation pressure: IOP)として安静時20分間のバッグ容量を測定した。その後、コルチコトロピン放出ホルモン(corticotropin-releasing hormone: CRH)2μg/kgを経静脈的に投与した後、さらに120分間のバッグ容量を測定し、平均バッグ容量、収縮刺激回数を評価した。 IOP、安静時の収縮回数、平均バッグ容量はIBS群、健常群の間で有意差は認められなかった。CRH投与後、IBS患者の平均バッグ容量は健常者より有意に低下した (123±61 vs. 160±50 ml, 0-60分後, p<0.05; 117±65 vs. 169±55 ml, 60-120分後, p=0.01)。CRH投与後のIBS患者の大腸収縮回数も健常者より有意に上昇した (18.4±24.7 vs. 6.4±18.1/h, 0-60分後, p=0.10; 18.6±17.6 vs. 7.8±11.6/h, 60-120分後, p<0.05)。 CRH静脈投与によって大腸運動増加が観察でき、その変化はIBSの方が健常者より大きいことが明らかになった。これらの所見は、中枢におけるCRHによる作用と同様に末梢におけるCRHもまたIBSの消化管運動機能を増悪させる作用を有する可能性が示唆された。消化管機能を調整する腸管神経叢、免疫作用に対してCRHとその受容体がIBSの病態生理に何らかの役割を果たしているかもしれない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、多くのIBS症例ならびに健常者の募集ができた。そのため、当初の計画より多くの消化管生理検査を実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、当初の計画通り引き続き大腸バロスタット検査によるCRH負荷刺激試験を行う。大腸バロスタット検査によるCRH負荷刺激試験では、5例のIBS患者と5例の健常者を募集する。 大腸生理検査前に、系統的問診によって主症状、病悩期間、幼少期の虐待歴、家族状況、現在のストレス事項、発症・症状増悪因子を聴取する。信頼性・妥当性の担保された質問票を用いて、IBS重症度(IBS-SI)、疾患特異的QOL(IBS-QOL)、親の養育行動(PBIならびにARCS)、自覚ストレス度(Perceived Stress Scale: PSS)、精神症状(STAIならびにSDS)、痛みに対する認知行動(Catastrophizing Scale)を評価する。大腸バロスタット検査中は大腸内のバッグ容量をモニターするとともに、CRH投与前、CRH投与15分、30分、60分、90分、120分後に採血を行い、各期のACTH、コルチゾール濃度を測定する。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Gastrointestinal specific anxiety in irritable bowel syndrome: validation of the Japanese version of the visceral sensitivity index for university students.2014
Author(s)
Saigo T, Tayama J, Hamaguchi T, Nakaya N, Tomiie T, Bernick PJ, Kanazawa M, Labus JS, Naliboff BD, Shirabe S, Fukudo S.
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Journal Title
Biopsychosoc Med
Volume: 8
Pages: 10
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] A randomized controlled trial of lifestyle self-monitoring for irritable bowel syndrome in female nursing school students.2013
Author(s)
Okami Y, Nin G, Harada K, Iwasa M, Kitaoka K, Saruwatari A, Aoi W, Wada S, Kimura M, Asano H, Okuyama Y, Takakuwa S, Kanazawa M, Fukudo S, Tsuji T, Higashi A.
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Journal Title
Open Journal of Gastroenterology
Volume: 3
Pages: 328-336
DOI
Peer Reviewed
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