2013 Fiscal Year Research-status Report
活性型血小板を介した糖尿病性細小血管症の進展抑制効果を有する生薬の探索
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24590880
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
柴原 直利 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 教授 (10272907)
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Keywords | 糖尿病性細小血管症 / 活性型血小板 / 血小板マイクロパーティクル / 生薬 |
Research Abstract |
生活習慣の欧米化により糖尿病患者は増加の一途を辿り、その合併症である糖尿病性腎症・網膜症・神経障害などの一因である動脈硬化の進展に伴う細小血管症の進展を抑制する治療法の開発が求められている。今回、糖尿病性細小血管症の発症・進展の過程で鍵となる活性型血小板及びマイクロパーティクル(PDMP)に対する生薬の効果を基礎的に研究し、糖尿病性細小血管症発症・進展抑制効果を有する生薬を探索することを目的とした。 牛膝・丹参・紅花の各生薬エキス末は、各生薬100gに対し500mlの蒸留水からエキスを抽出、凍結乾燥させて作製した。7週齢のWistar/ST雄性ラットにStreptozotocin (STZ、 60mg/kg)を腹腔内単回投与して糖尿病を誘発した後、無作為に6群(Sham群、糖尿病Control群、牛膝・丹参・紅花の生薬エキス群、Sarpogrelate群)に分類し、薬剤あるいは水道水を連日7日間胃内に強制投与した。薬剤投与後にペントバルビタール麻酔下に門脈血を採取し、多血小板血漿・乏血小板血漿に分離して血小板数を調整した上で、抗CD62、抗CD61抗体を用いてフローサイトメトリー(FACS)により活性型血小板マーカーを測定した。さらに、血小板由来マイクロパーティクル測定キットPDMP ELISA Kitを用いてPDMP濃度を測定した。 FACSによる検討では、糖尿病群はSham群に比較して活性型血小板及びPDMPの検出率がともに増加し、活性型血小板は薬剤投与による有意な変化を認めなかったが、PDMP検出率は牛膝及び丹参エキスにより有意に低下した。また、ELISAによるPDMP濃度測定では、糖尿病群で増加し、丹参及び紅花エキス、Sarpogrelateの投与により有意に低下した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
STZ誘発糖尿病モデルラットは予定通りに作製している。各生薬エキスは常法の通りに作製し、その投与についても計画通りに実施している。活性型血小板及び血小板パーティクルも計画通りに測定できており、生薬エキスの効果を検討し、糖尿病誘発により惹起された血小板パーティクルの増加が丹参及び紅花により有意に低下することが明らかとなった。以上の結果より、達成度は概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度と同様に、STZ誘発糖尿病モデルラットに各種生薬エキスを投与した上で、活性型血小板、及び血小板マイクロパーティクルをFACSにより測定するとともに、ELISAにより血小板マイクロパーティクルを測定し、活性型血小板、あるいは血小板マイクロパーティクル抑制効果を有する生薬を探索する。平成25年度に血小板マイクロパーティクル抑制効果抑制効果が認められた丹参及び紅花エキスについて、投与量による活性型血小板抑制効果および糖尿病性細小血管症抑制効果の相違を検討する。さらに、腎機能マーカー、腎組織学的検討により糖尿病性細小血管症を評価するとともに、大動脈のeNOS及びiNOSをウェスタンブロット法により定量する。 本研究にはSTZ誘発糖尿病モデルラットが必要であり、その作製の為に6週齢Wisterラット(80匹、1匹2,000円、160,000円)を購入する。また、STZ誘発糖尿病モデルラットより血液、大動脈、腎臓を採取する際に用いる麻酔薬(pentobarbital、15,000円)、及び実験に用いる生薬(31,000円)、活性型血小板マーカーを測定するために抗CD62、抗CD61抗体、及びPDMP ELISA Kitの購入が必要である(387,000円)。さらに、動脈硬化進展の判定には組織学的検討が不可欠であり、大動脈及び腎臓のパラフィン固定、染色を外部に委託する必要があり、その経費を計上した(368,000円)。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
入札により予定金額よりも安価に購入することが可能となったため、315円の次年度使用額が生じたものである。 平成26年度の使用予定額に315円を加えて使用する予定である。
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