2013 Fiscal Year Research-status Report
鍼通電で発見したAig1lタンパク質の機能と鍼治療メカニズムの解明
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24590884
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大田 美香 神戸大学, 医学部附属病院, 研究員 (20274706)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高岡 裕 神戸大学, 医学部附属病院, 准教授 (20332281)
一瀬 晃洋 神戸大学, 医学部附属病院, 准教授 (90362780)
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Keywords | 鍼治療 / 東洋医学 / Aig1l / 立体構造解析 / フラグメントアセンブリ |
Research Abstract |
本研究の目的は、鍼治療効果のメカニズム研究に際して発見したAcupuncture-induced 1-L (Aig1l)タンパク質機能の解明と鍼治療効果機序の解明である。今年度は、(1)特異性の高いAig1l抗体の選択とシグナル伝達経路の解析系の確立、(2)フラグメントアセンブリ法によるAig1lタンパク質の立体構造の解析、を行った。 (1)では、前年度に作製した5種類のAig1l抗体の中から特異性の高い抗体を選択する目的でウェスタンブロッティング解析した。その結果、3種類の抗体は特異性が低いAig1l抗体であった。現在、残りの2種類の抗体について継続して解析している。鍼治療効果に関与するPI3K/AKTシグナル伝達経路の解析系については、まずウェスタンブロッティング解析時に内部標準として用いられる2種類のハウスキーピングタンパク質の実験条件を決定した。次に、PI3K/AKTシグナル伝達経路にかかわる2種類のタンパク質について、その解析条件を決定した。 (2)では、分子シミュレーションによる立体構造の解析方法の確立を最終目標に、鋳型が不要な立体構造解析法であるフラグメントアセンブリ法(Simons KT et al. J Mol Biol 268:209-225, 1997)を基にした解析プログラムを作成した。このプログラムにより、Aig1lタンパク質に存在するホモロジーモデリング法の適用が不可能な領域(Aig1lタンパク質の1番目から216番目の216アミノ酸と、896番目から962番目の67アミノ酸)の構造解析が可能になると期待される。今回、Aig1lタンパク質でホモロジーモデリング法の解析が不可能なN末端領域を対象に、今年度作成したプログラムを用いて部分立体構造を解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特異性が低い抗体を除いた2種類の抗体の可否について解析中である。次に、PI3K/AKTシグナル伝達経路の解析系の確立のため、内部標準として用いられるハウスキーピングタンパク質であるβ-アクチンとα-チュブリンの実験条件を決定した。また、PI3K/AKTシグナル伝達経路のmTORとP70S6Kのウェスタンブロッティングの解析条件も決定した。Aig1lタンパク質の立体構造の解析に向け、フラグメントアセンブリ法を基にした解析プログラムを作成した。実際、このプログラムを用いて部分立体構造の解析が可能であった。このように、順調に研究が進展している。加えて、本研究内容について学会から依頼があり、1回講演した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、まず(1) 特異性の高いAig1l抗体の選択と組織化学解析、鍼治療効果に関与するシグナル伝達経路を解析する。次に、(2) フラグメントアセンブリ法によるAig1lタンパク質の部分立体構造を解析する。 (1)では、前年度に候補とした2種類のAig1l抗体から、より特異性の高い抗体を選択する。また、作成したポリクローナル抗体よりも特異性が高いモノクローナル抗体の作製の可否も検討する。Aig1l抗体は、タンパク質の脳内局在や細胞局在の解明に用いる。次に、鍼治療効果に関与するPI3K/AKTシグナル伝達経路の解析系で重要な役割を持つAktタンパク質のリン酸化および非リン酸化について、ウェスタンブロティング解析の条件を決定する。 (2)は、今年度に解析の計算時間短縮の実現を目標に、MOEプログラム(Chemical Computing Group社)を利用した新たな解析系の確立を目指す。フラグメントアセンブリ法は解析の計算量が多く解析時間が長くなるので、前年度の研究で作成した解析プログラムで長大であった解析時間の短縮を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の進捗状況から、平成26年度にMOEプログラム(Chemical Computing Group社)を購入し使用するため、また最新型の高速計算機を購入し計算時間の短縮させるため、予算を繰り越した。 研究計画を遂行するため、本研究予算でMOEプログラム(Chemical Computing Group社)と最新型の高速計算機を購入する。そして、研究支援者を雇用し、研究用試薬、研究成果の発表・関連研究の情報収集のための旅費や論文投稿費用、別刷り料等で研究費を使用する予定である。
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Research Products
(1 results)