2014 Fiscal Year Research-status Report
高齢認知症患者における高齢者タウオパチーの臨床的分離同定に関する研究
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24590894
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
嶋田 裕之 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90254391)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安宅 鈴香 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40549755)
渡邊 恭良 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40144399)
三木 隆己 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90174002) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 老年期認知症 / 高齢者タウオパチー / アルツハイマー型認知症 / 嗜銀顆粒性認知症 / 神経原線維変化型認知症 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳内の老人斑を画像化する手法としてPiBを用いたアミロイドイメージングが開発され、我々は、その成果から病歴や既存の画像検査などの臨床的除外診断でアルツハイマー病と診断した患者の中に、PIB-PETが陰性で脳内にアミロイドの蓄積が証明されない患者が存在することを見いだした。我々はこれらの患者群をPIB陰性認知症と名付け、その髄液バイオマーカーの特徴からアルツハイマー型認知症とは異なる背景病理をもつ患者群である可能性を指摘した。そしてさらなる研究の結果PIB陰性認知症患者の背景病理として、高齢者タウオパチー(嗜銀顆粒性認知症と神経原線維変化型認知症)や前頭側頭型認知症が含まれるという確証を得るにいたった。先行研究では年齢を制限せずに研究を行ったが、高齢者タウオパチーはその病名の通り高齢者に多く認められる疾患である。そのため本研究では対象患者を80歳以上の高齢者として、臨床的にはアルツハイマー型認知症と診断された患者にアミロイドイメージングを行って抽出する事にした。昨年一年間ではアミロイドイメージングは30例行ったが、その内臨床診断がアルツハイマー病で80才以上の高齢者は4例であった。その内アミロイドイメージングが陰性で我々が提唱する高齢者タウオパチーに合致する患者は3例であった。昨年までの研究によって見いだされたPIB陰性認知症患者は15例であった。それらのうち高齢者タウオパチーが疑われる患者は10例であったので合計13例見いだされたことになる。本研究ではこれらの高齢者タウオパチーが疑われる患者をさらに蓄積し、その臨床像を検討し、どのような特徴を有するか、種々の検査結果はどのような結果を示すかを検討するものである。いくつかの他施設からの先行研究の結果からは、側頭葉内側、前方海馬や迂回回に萎縮を認めると嗜銀顆粒性認知症が疑われるため、それについて検討をする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年までの研究で、80才以上の高齢認知症患者に対してアミロイドイメージングを行えた患者数は29人であった。それらの患者は物忘れが主体であり、旧AD診断基準であるNINCDS-ADRDAに基づいてprobable あるいはpossible ADの診断となった患者である。しかし今回の4例の症例のうち2例の主治医はさらに臨床的特徴を分析し、今までの経験から、さらにより可能性の高い診断として、我々が臨床的特徴を分離同定したいと考えている嗜銀顆粒性認知症の診断を鑑別に上げていた。そしてそれら2例ともアミロイドイメージングは陰性であり、我々が目指す診断であった。残り2例はアルツハイマー型認知症の診断であった。そして1例はアミロイドイメージングが陽性であったが、1例は陰性であった。そのため今年度我々が集積したいと考えていた、PIB陰性認知症患者は3例見いだせたことになる。今年度の特徴はその内の2例をすでに臨床の場面で、MRI画像の左右差を認め、やや易怒性などの性格変化が目立つなど、通常のアルツハイマー型認知症とは異なる印象を持つことを捉えた結果である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は高齢でアミロイドイメージングを行えた症例は多くはなかったが、陰性症例を多く見いだすことができ、比較的順調に症例のentryが進んだ。またアミロイドイメージングを行う前から臨床的特徴で、嗜銀顆粒性認知症を疑うなどその特徴を把握できつつあるように思われる。また本年度はそのためかアミロイドイメージングの陰性率が75%と高くなった。症例数が少ないため、年度によってばらつきが認められるように思われるが、高齢認知症患者では非アルツハイマー型認知症患者の割合が増加する可能性がある事を示唆していると思われる。近年は80歳以上の高齢者でも、認知症の精査加療を求めて病院を受診するケースが増えている。また積極的にアミロイドイメージングを希望する家族も出てきている。そのため今後も積極的に外来にて、スクリーニング検査を行いアルツハイマー型認知症が疑われる患者にアミロイドPETを施行する予定である。そのため本年度も昨年同様研究の推進が期待できると思われる。また来年度は同時に採取している髄液バイオマーカーの結果も合わせて解析しさらなる特徴を見いだしたい。
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Causes of Carryover |
今年度は、研究費に余裕があったため、他の予算で研究を行うことができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度はそれらの研究費がなくなるため、本研究予算で、PETを施行する予定である。
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